笛吹き女 |
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詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください
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橋本の代表的な歌曲として良く取り上げられる「黴」「斑猫」と同じ年に作曲されたこれも前衛色あふれる朗唱風の歌曲ですが、他の2曲に比べるとほとんど取り上げられることはないようです。というのもこの作品だけがもともと管弦楽伴奏で書かれたこと、12章からなる大作であったことが災いしているかのよう。オーケストラ・ニッポニカのサイトでピアニスト&作曲家の野平一郎氏による1944年、この曲の初演者荻野綾子にちなんだ詳細な曲紹介がプログラムノートとして掲載されておりましたのでリンクを紹介しておきます。
http://www.nipponica.jp/archive/notes/24th_note.htm
このサイトでも引用されている、初演の演奏会プログラム中の作曲者自身の言葉だけ以下に引用させて頂きます。
『深尾須磨子氏の詩による「黴」並びに「斑猫」と姉妹曲にして、共に日本としては新らしき試みなる朗読調式の作曲法による。フリュートは屡々(しばしば)独奏的旋律を以て「笛吹き女」を表はされ、最初に現はれる旋律は始終ヴァリエーション的に変形を以て、種々なる楽器に現はされ、その間、エピソードを含みつゝ、第二義的主題が二三、ロンド風に然も変形されつつ現れる。かくの如く、独唱を除きても殆ど独立せる音楽をなせど、全体としては勿論、純形式的器楽曲の如き厳格さを持たぬ。』(引用終わり)
( 2020.12.16 藤井宏行 )