Gruß Op.48-1 6 Sanger |
あいさつ 6つの歌曲 |
Leise zieht durch mein Gemüt Liebliches Geläute, Klinge,kleines Frühlingslied, Kling hinaus ins Weite. Zieh hinaus bis an das Haus, Wo die Veilchen sprießen, Wenn du eine Rose schaust, Sag,ich laß sie grüßen. |
そっと惹かれて行く わが心を越えて この愛らしい鈴の音は 響け 小さな春の歌よ 響け はるか遠くまで 行くんだ あの家のところまで あのスミレのつぼみが開くところまで もしお前が一輪のバラに出会ったなら 告げてくれ ぼくは彼女にあいさつしに来たと |
グリーグはドイツに留学していたこともありますし、北欧の言葉自体がドイツ語と非常に良く似ていますので、他の多くの北欧の作曲家がそうであったようにドイツ語の詩につけた歌曲をたくさん書いています。
しかしそのほとんどは初期の作品で、この曲が含まれるOp.48のように中期になってからのものは珍しいです。そしてここではこのハイネをはじめ、ゲーテやウーラントといったドイツリートではおなじみの詩人たちにそれぞれ1曲ずつあてています。また各曲が非常に個性的で聴き応えがありますので、ドイツリートを歌う人も含めてけっこう頻繁に取り上げられますので、グリーグの歌曲としてもこの歌曲集に含まれる歌は比較的良く知られたものとなっています。
これはその第1曲、ハイネの1830年の詩集“Neuer Frühling(新しい春)”という、彼にしてはえらくストレートな春の喜びを謳い上げる詩ばかりを集めているものから取り上げています。この歌曲のタイトルのように呼ばれることもあれば、“Frühlingsbotschaft(春の知らせ)”という題で紹介されることもあるようです。なお原詩では2連目冒頭のZieh(行け)はKlinge(響け)、またVeilchen(スミレ)はBlumen(花々)になっています。恐らく作曲者が手を入れたのでしょうか。
この詩にはメンデルスゾーンも作曲していて、そのひそやかな雰囲気が魅力的でしたが、グリーグの方は溢れ出る春への喜びが隠し切れない、といった感じの軽快さがこれもまた素敵な音楽になっています。
前奏や間奏のさえずる小鳥のようなピアノがたいへん印象的です。
( 2007.05.19 藤井宏行 )