Lenzgesang Op.50-1 6 Lieder |
春の歌 6つの歌 |
Seid gegrüsst,ihr grünen Hallen Frühlingsheller Waldespracht, Wo das dumpfe Herz aus allen Kümmermissen froh erwacht. Seid gegrüsst,ihr Felsenzacken, Die ihr in die Wolken ragt Und auf starken Risennacken Säulenschlanke Buchen tragt. Moos'ge Schluchten,Steingeklüfte Überdeckt das rote Laub, Das im Sturm die Herbsteslüfte Hingewettert in den Staub. Wie ein Teppich braun und golden Lagern Schichten über Schicht, Die mit selt'nen Blütendolden Kaum ein Grünes unterbricht. Was sich hoffnungsvoll entfaltet Einst im Mai in junger Kraft, Wird im Herbste schnell veraltet Zu den Toten hingerafft. Aber unerschöpflich dringen Trieb' um Triebe wachsend nach, Und die starken Äste schlingen Sich zum hochgewölbten Dach. Menschenkind,und du willst klagen, Wenn im Wirbelsturm der Welt Deine Hoffnung hingeschlagen Gleich dem Laub zu Boden fällt? Auf! Aus ungeschwächtem Marke Schaffe neue tausendfalt, Und so wache,so erstarke Wie der sturmerprobte Wald. Seid gegrüsst,ihr grünen Hallen Frühlingsheller Waldespracht! Durch die Wipfel hör' ich 's wallen Hundertstimmig laut und sacht, Treibend,knospend,vielgeschäftig Rauschts dahin wie Geisterflug. Lenz,ich spüre lebenskräftig Deinen neuen Atemzug. |
こんにちは 緑の森の広間よ 春の輝き 森のささやき ここではうつろな心があらゆる 悩みから喜んで目覚めるのだ こんにちは 険しい岩山よ 雲を突き抜けてそびえ そしてその頑丈な巨人のような首に すらりと伸びたブナの木々を乗せている 苔むした谷間や岩の裂け目は 赤い枯葉に覆われている それは秋の嵐が 塵のように吹き集めてきたものだ まるで茶色と黄金色のじゅうたんみたいに 幾重にも層をなしている それは珍しいsanicleによって ほんの所々緑が割り込む 希望に満ちて花開くもの この五月に若い力で花開くもの それも秋には色あせて 死へと吹き払われてしまうのだろう けれど決して衰えることなく 若い芽が 若い芽がと次々に育ち そして丈夫な幹となり 高みへと昇っていうのだ 人間たちよ、お前は悲しむのか 世の中の嵐の中で お前の希望が打ち砕かれたとき ちょうどこの木の葉が地面に叩きつけられるように? 立つのだ!不屈の力で 千段の層でも作るがいい 成長せよ 強くなれ 嵐に耐える森になるのだ こんにちは 緑の森の広間よ 春の輝き 森のささやき こずえから私には聞こえる 幾百の声が 声高にあるいは優しく 漂い、芽吹き、活気にあふれて 魂が飛び立つようににぎやかに語るのを 春よ、私は感じる 命の力を お前の新たな息遣いを |
シベリウスはほとんどの歌曲をスウェーデン語の詩につけ、あと一部をフィンランド語の詩に書いているのですが、なぜかOp.50として書いている6曲の歌はすべてドイツ語です。スウェーデン語とドイツ語は響きが似ているとはいえ、やはり言葉が変わるとイメージが全然変わるのが興味深いところです。その第1曲のこの曲などもシューベルトの歌曲のようなすがすがしいシンプルさとメロディの美しさが大変に印象的です。
春の喜びが溢れていますが、詩ではまた前の秋に死んだものたちの亡骸も描写しています。
そういったものを積み重ねて生命は成長していくのだ、という説教を人間たちに対してもしている詩は少々陳腐な感じもしないではありませんが、さわやかな、そしてちょっと翳りのあるこのメロディと一緒に聴いているとそんなに気にはなりません。詩人のフィトガー(Arthur Heinrich Wilhelm Fitger 1840-1909)については経歴などはよく分かりませんでした。
シベリウスの交響曲や管弦楽の作品ばかりを聴いているとあまりこの作曲家と春というのはイメージがつながりにくいところのように思えますが、こと歌曲に関していいますとおびただしい数の春の歌があります。
とても今年1年で訳しきることは望めないのですが、素晴らしい歌がたくさんありますので少しずつでも取り上げていきたいと思います。
この歌はトム・クラウセ(Decca)やヨルマ・ヒュンニネン(Finlandia)などの温かみのあるバス・バリトン歌手に歌われるととても素敵ですね。ドイツ語詞であるにも関わらず意外とドイツリートの歌い手に取り上げられることは多くない曲のように思います。そもそも存在が知られていないのでしょうか。何ともったいない!
( 2007.05.05 藤井宏行 )