Noch’ pechal’na Op.26-12 Pjatnadtsat’ romansov |
夜は悲しい 15のロマンス |
Noch’ pechal’na,kak mechty moi... Daleko,v glukhoj stepi shirokoj, Ogonek mertsaet odinokij... V serdtse mnogo grusti i ljubvi. No komu i kak razskazhesh’ ty, Chto zovet tebja,chem serdtse polno? Put’ dalek,glukhaja step’ bezmolvna, Noch’ pechal’na,kak moi mechty. |
夜は悲しい、私の見る夢のように はるかかなた、むなしく広がる野原に たったひとつの灯りが燃えている 私の心は悲しみと愛で一杯になる だが誰に告げよう、誰に分かってもらおう 何があなたを呼んでいるのか、何があなたの心を満たしているのかを 道は遠く、広がる野原は音もない 夜は悲しい、私の見る夢のように |
ヴィシネフスカヤ/ロストロポーヴィチのコンビによるグリンカ・ラフマニノフ歌曲集(DG)が昨年CDではじめての再発となりましたが、その冒頭を飾っているのがこの曲です。ラフマニノフお得意の浸り込むような悲しみの情緒が見事に表現されていてヴィシネフスカヤの重たいソプラノにはたいへん良く合っており、ロストロポーヴィチの力強いピアノ共々たいへん印象的な音楽を紡ぎ出してくれています。
詩を書いたイワン・ブーニン(1870-1953)はロシア貴族の出ですが、ラフマニノフ同様にロシア革命を嫌って1920年にフランスに亡命、その後1933年にノーベル文学賞を取っています。この曲は1906年の作曲だそうですのでまだ詩人もロシアにいた頃ですね。
( 2007.04.30 藤井宏行 )