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men min fågel märks dock icke   Op.36-2  
  6 Laulut
でもあたしの鳥は帰ってこない  
     6つの歌

詩: ルーネベリ (Johan Ludvig Runeberg,1804-1877) フィンランド
    Lyriska dikter II - Ett litet öde 9 Svanen speglas ren i sundet

曲: シベリウス (Jan Sibelius,1865-1957) フィンランド   歌詞言語: スウェーデン語


Svanen speglas ren i sundet,
knipans vita vingar vina,
lärkan höres högt i höjden,
spovens rop kring kärret rullar,
våren samlar sina skaror,
får sin fågelflock tillbaka,
väntar dem med sol och värme,
lockar dem med långa dagar.

Och jag,arma flicka,fiker,
söker skingra saknans mörker,
vårda värmen i mitt sinne,
vill som våren vänlig vara,
synas ljus som sommardagen.
Och jag gläds,fast sorgen gnager,
ler,fast tåren trängs i ögat,
men min fågel märks dock icke.

白鳥はもう入江にその姿を映している
鴨は白い羽をばたつかせてる
ヒバリの声は空高く聞こえ
ダイシャクシギの嘆きは水辺を横切って響く
春はそんな鳥の群れを呼ぶ
鳥たちの群れを寄せ集めようとする
太陽と暖かさを用意して待っている
日を長くして彼らを誘うの

でもあたし、みじめな娘は願うの
あなたのいない暗闇を打ち払いたいと
そうすればあたしの胸は暖まる
春みたいに親しげに
夏の日みたいに輝かしく
そしてあたしは喜ぶの、たとえ悲しみに打ちひしがれても
笑うの、たとえ涙が目からあふれ出ても
でもあたしの鳥は帰ってこない


とても素朴な、民謡の味わいすらある歌です。鳥たちが南の国から帰ってくる春であるにも関わらず悲しみに満ち溢れているのは、この歌をくちずさんでいる少女の恋人が帰ってこないから。まわりの春の喜ばしい情景の中で、それに合わせて心にもない喜びを表そうとしている健気さには思わずほろりときてしまいます。そして最後に一瞬の間を置いてつぶやかれる「あたしの鳥は帰ってこない」の一言の重さ。
2連2行目は直訳すると「喪失感の暗闇を」ということで恋人とははっきりと言ってはいないのですが(それにこの鳥が帰ってこない恋人だということも一言も原詩にはないのですが)、全体から受ける印象からここには「あなたのいない」という言葉を補いました。もしかすると意訳に過ぎて詩情を損なっているかも知れませんので間違っていればご指摘頂けるとありがたいです。
ルネベルイがよく書いている少女の恋を描写した詩ですが、シベリウスの巧みな演出もあいまって大変に印象的な歌となりました。個性的な名曲揃いのOp.36の中でもしっかり自己主張をしています。
シベリウスの歌曲に特有の濃厚な旋律美はないですが、日本の伝統音楽にもつながるのではないかというどこか懐かしい調べがとても心に響きます。なんだかロシア音楽のようでもあります。

ピアノ伴奏ではフォン=オッターの歌(BIS)が、オーケストラ伴奏では往年の歌手フラグスタートのもの(Decca)が貫禄に溢れてとても素晴らしい出来でした。

( 2007.05.01 藤井宏行 )


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