Spleen Op.51-3 Quatre mélodies |
憂鬱 4つのメロディ |
Il pleure dans mon coeur Comme il pleut sur la ville. Quelle est cette langueur Qui penetre mon coeur? O bruit doux de la pluie, Par terre et sur les toits! Pour un coeur qui s'ennuie, O le chant de la pluie! Il pleure sans raison Dans mon coeur qui s'ecoeure. Quoi! nulle trahison? Mon deuil est sans raison. C'est bien la pire peine, De ne savoir pourquoi, Sans amor et sans haine, Mon coeur a tant de peine. |
私の心は涙で濡れる 町にそぼ降る雨のように このやるせなさはなんだろう 胸にじんわりと広がってくる おお、雨のしたたる音は 地面に、そして屋根に響く! この悲しむ心のために 雨が歌ってくれているのだ! わけもなく流れる涙 行き場のない私の心 何故?何かの報い? わけのわからないこの悲しみ いっそうつのるこの苦しみは 理由がなぜだかわからないから 愛も、憎しみも棄てているのに 私の心は苦しみに満ちる (藤井訳:2004/9/19) |
「憂鬱」とかくとそれだけで漢字の持つ力に押されそうですが、原題``Spleen”
ではそんなことは感じません。
ともかく、この曲は「巷に雨の降るごとく」で始まる有名な訳詩につけた曲であり、
けだるい雰囲気がほのかに伝わってきます。
ドビュッシーも同じ詩に曲をつけていますが、フォーレのほうがより端正です。
曲は、ピアノの左手と右手がずれる音形から始まります。
ちょうどドビュッシーの「子供の領分」の「雪が踊っている」を思い起こさせます。
そこにゆるやかな歌が加わり、徐々にものうい感情が広がります。
伴奏が三連符に変わるところは、フォーレ得意の場面転換です。
息の長い旋律を聞く度、私はため息をついてしまいます。
でも、じめじめした粘り気がないのが不思議です。
特に歌い手の違いで聞き比べたことはありません。今後の楽しみにとっておきます。
( 1998.11.20 丸山智 )