Core 'ngrato |
つめたい心(カタリ カタリ) |
Catarì,Catarì, pecche' me dice sti parole amare? pecche' me parle,e 'o core me turmiente, Catarì? Nun te scurda' ca t'aggio dato 'o core, Catarì,nun te scurda'! Catarì,Catarì, che vene a dicere stu parla' ca me da spaseme? Tu nun ce pienze a stu dulore mio tu nun ce pienze,tu nun te ne cure. Core,core 'ngrato, t'haie pigliato 'a vita mia, tutt'e' passato e nun ce pienze cchiu'! Catarì,Catarì tu nun o saie ca 'nfino int''a na chiesa io so' trasuto e aggio priato a Dio, Catarì e ll'aggio ditto pure a 'o cunfessore I' sto' a suffrì pe chella lla'! Sto a suffrì,sto a suffrì nun se po credere sto' a suffrì tutte li strazie e 'o cunfessore ch'e' persona santa m'ha ditto: figlio mio,lassala sta',lassala sta'! Core,core 'ngrato, t'haie pigliato 'a vita mia, tutt'e' passato e nun ce pienze cchiu'! |
カタリー、ねえカタリー どうして君はボクに言うの そんなヒドイこと? どうしてボクの心を苦しませる言い方をするの、 カタリー? 忘れちゃいやだよ、ボクがかつて心のすべてを捧げたことを、 カタリー 忘れないで! カタリー ねえカタリー、 なんでそんなことを言うの ボクをキズ付けるようなことを? きみはボクのこの苦しみなんて考えてない 気遣いも思いやりもないじゃないか 心よ、つめたい心よ きみはボクの人生を奪い去ったんだ もうオシマイなのかなあ きみはもう気にかけてもくれない! カタリー、ねえカタリー 君は何も知らないんだ、ボクが教会に行ってきたことも 神様にお祈りしたことも、 カタリー それからボクが神父様にこう告白したことを、 「ボクは死にそうです あの人のために! ボクは苦しいんです ボクは苦しいんです 信じられないくらい ボクは苦しいんです このひどい痛みで」って でもその告白に、偉い神父様は こう答えられたんだ「彼女に任せなさい 彼女に任せなさい」って 心よ、つめたい心よ きみはボクの人生を奪い去ったんだ もうオシマイなのかなあ きみはもう気にかけてもくれない! |
私はこの「カタリ」というのが長いこと何だか分かっておらず、よく邦題で「カタリ(うすなさけ)」とありますことから薄情な振る舞いのことをイタリア語でカタリというのかとさえ思っていました。これは実は女性の名前で、カタリナの愛称だったのですね。英語で歌うなら「キャサリン、キャサリン」とでもなりますでしょうか...
作曲者のサルバトーレ・カルディッロ(1874-1947)はイタリア・ナポリの生まれですが、1903年にはアメリカに移住しそのまま帰化した人だそうです。同じようにナポリ出身でアメリカに帰化したリッカルド・コルディフェッロ(1875-1940)の詞に付けた1911年の作品がこの歌。ナポリ出身の大スター、エンリコ・カルーソーによって1911年、ニューヨークのカーネギーホールで初演されたとあります。その意味ではこれアメリカの歌と言えば言えなくもないのですね。とすると戦時加算が生じて厳密な意味では曲の著作権はまだ切れていませんので、著作権者がうるさいことを言い出すとMIDIでこの曲をUPされてる方、かなりヤバイかも知れません(といっても著作権期間延長がなければあと1年ほどの辛抱ですが...)。正式なタイトルは「Core 'ngrato つれない心」ですが、「つれない」っていうのも死語になっているような気がしますのでここでは「つめたい心」としてみました。
イタリアものの名曲集なんかではとても良く取り上げられる曲ではあるのですが、私はあまりこういうしんねりしたイタリア歌曲は好みではなくてそれほど聞き込んだことはありませんでした。まあちょっと他のイタリアの曲を訳すついでにこいつも有名だから訳しておこうか、っていう感じのノリで見てみたんですが...
これ、かなり凄い歌詞ですね。フラれた恨み言を言うにしてもなんでコイツここまで情けないんかい?って感動させられてしまいました。
あんまり詞が濃すぎてクドクなるので2番は歌われないことも多いようですが、せっかくなのでちょっと思い切りダメ男っぽくしゃべらせてみました。この対訳でホセ・カレーラスくらい泣きの入った歌声で聴くと実にいい感じです。
意外と初演者のエンリコ・カルーソーとかジュゼッペ・ディ・ステファノやフランコ・コレルリなどのイタリアの大御所の歌が淡々としていて肩透かしだったのですが、逆にこれはイイ、と思ったのはアメリカ生まれのマリオ・ランツァの歌、あざといほどの表情付けで楽しませてくれます。日本では本場モノではないということでしょうか、あまり評価されているとは言えない彼の歌ですが、私はオペラでもカンツォーネでもけっこう好きな歌い手で、いくつかの曲では一番の愛聴盤だったりします。とにかくエンターテイナー。若くして亡くなったこともありますがアメリカで現在も彼の人気が高いのは頷けるような気がします。
( 2007.03.10 藤井宏行 )