Der Säemann Op.62-5 Lieder um den Tod |
タネを蒔く人 死者の歌 |
Durch die Lande auf und ab schreitet weit Bauer Tod; aus dem Sack um seine Schulter wirft er Keime ohne Zahl. Wo du gehst,wo du stehst, liegt und fliegt der feine Staub. Durch die unsichtbare Wolke wandre mutig,doch bereit! Durch die Lande auf und ab schreitet weit Bauer Tod; aus dem Sack um seine Schulter wirft er Keime ohne Zahl. |
あちらの畑、こちらの畑と 死の農夫は種を蒔く 彼の肩にかけた袋からは 無数の種が飛び散っていく どこに行っても、どこに立っても 種は細かな埃のように積もり、漂っている この見えない雲の中を 勇気を持って、しかし心を決めて歩け! あちらの畑、こちらの畑と 死の農夫は種を蒔く 彼の肩にかけた袋からは 無数の種が飛び散っていく |
種を蒔くというよりはこれを聴いて私の持ったイメージは花咲か爺さんが灰を撒いている情景です。しかし撒いているのは枯れ木に花を咲かすものではなく、逆に生きているものを滅ぼす死の灰(といいますか正しくはタネ)。
むしろ化学兵器の有毒ガスを撒き散らしている防毒マスクを被った兵士のイメージの方が近いでしょうか。
音楽は前曲の静けさが一転して激しいものとなります。転げまわるように鳴るピアノは飛び散っている死のタネの描写でしょう。それが靄のようにあとからあとから湧き出してくるイメージが実感できる素晴らしい伴奏のメロディです。
これもヒュンニネンの研ぎ澄まされた歌と切れ味鋭いゴトーニのピアノ伴奏で聴くとことのほか印象的。名曲に名演奏、映えますね。
( 2007.03.09 藤井宏行 )