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Säv,säv,susa   Op.36-4  
  6 Laulut
葦よ 葦よ そよげ  
     6つの歌

詩: フレーディング (Gustaf Fröding,1860-1911) スウェーデン
    Nya dikter - Från Värmland  Säv,säv,susa

曲: シベリウス (Jan Sibelius,1865-1957) フィンランド   歌詞言語: スウェーデン語


Säv,säv,susa,
våg,våg,slå,
I sägen mig var Ingalill
den unga månde gå?

Hon skrek som en vingskjuten and,
när hon sjönk i sjön,
det var när sista vår stod grön.

De voro henne gramse vid Östanålid,
det tog hon sig så illa vid.
De voro henne gramse för gods och gull
och för hennes unga kärleks skull.

De stucko en ögonsten med tagg,
de kastade smuts i en liljas dagg.

Så sjungen,sjungen sorgsång,
I sorgsna vågor små,
säv,säv,susa,
våg,våg,slå!

葦よ 葦よ そよげ
波よ 波よ さざめけ
そして語っておくれ 私たちのインガリルは
あの若い娘はどこに行ってしまったのかを?

あの子は翼を撃たれた鴨のように叫んだ
湖にその身を沈めたその時に
それは緑あふれる去年の春だった

東のオーリッドの人々はあの娘を羨み
彼女はとても傷ついていた
また人々は羨んだ、富を、持ち物を
そして彼女の若い愛を

人々は茨で目を刺し
ユリの花露に泥を投げつけた

だから歌え 歌え 悲しみの歌を
お前、小さな悲しみの波よ
葦よ 葦よ そよげ
波よ 波よ さざめけ


シベリウスの歌曲の大傑作のひとつに挙げられている作品です。穏やかな春の風景の中でひそかな悲しみに暮れる情景が見事に描写されていますが、フレーディングの詩の響きだけでもとてもきれいですから、ここに下手に音楽を付けると詩に音楽が負けてしまいかねません。
シベリウスの音楽はそれに負けじと澄みきった美しいメロディをつけています。冒頭のSäv,säv,susaのところを歌と伴奏などため息がでるほど美しいです。私は個人的にはシベリウスの歌曲の最高傑作と思っています。
詩のインガリルという名前の少女はフレーディングの詩によく出てくるヒロインでしょうか。スウェーデンの作曲家ステンハンマルにも詩人の別の詩ですが「インガリル」という歌曲があります。またこの歌曲「葦よそよげ」も「インガリル」という題名で呼ばれることもよくあります。
彼女が湖に身を投げてしまった理由や、これがどこを舞台とした物語なのかはいまひとつ良く分からなかったところもありますが、どこでもないどこか遠くの不思議なお話、といった感じで味わっておくのがよろしいでしょうか。私は無粋にも「東オーリッド(エステンオーリッド)」ってどこだろう?とネット検索してみましたがどんぴしゃなところは見つからず。ただスウェーデン中部の都市ウプサラの近郊にオーリッドという町があるみたいですので、これもスウェーデンのどこか田舎の春の物語とでもいえましょうか。

まあ余計なおしゃべりはほどほどにして、この曲は意味が取れなくても言葉の響きと音楽に身を任せるだけでも良いでしょう。シベリウス歌曲を歌う人であれば誰でもこの歌は歌っていると思いますし、誰の歌でも素敵です。個人的にはこの曲は男声で歌われるのが好きなので、トム・クラウセ(Finlandia)やヨルマ・ヒュンニネンのもの(Ondine)などを良く聴きます。

( 2007.03.09 藤井宏行 )


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