舟路 |
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海にして響く艫の聲 水を撃つ音のよきかな 大空に雲は飄ひ 潮分けて舟は行くなり 靜なる空に透かして 青波の深きを見れば 水底やはてもしられず 流れ藻の浮きつ沈みつ 緑なす草のかげより 湧き出づる泉ならねど おのづから滿ち來る汐は 海原のうちに溢れぬ さながらに遠き白帆は 群をなす牧場の羊 吹き送る風に飼はれて わだつみの野邊を行くらむ 雲行けば舟も隨ひ 舟行けば雲もまた追ふ 空と水相合ふかなた 諸共にけふの泊へ |
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( 2020.08.18 藤井宏行 )