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うぬぼれ鏡    
 
 
    

詩: 小黒恵子 (Oguro Keiko,1928-2014) 日本
      

曲: 平井康三郎 (Hirai Kozaburo,1910-2002) 日本   歌詞言語: 日本語


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください
まあ
今朝のわたし なんて美しいんでしょう
鏡をみつめて 微笑んで
化粧水を心地よく手のひらで叩き
気付かなかったホクロもとってもチャーミング
うふっ!

ああ
今日のわたし なんてうぬぼれなんでしょう
鏡をみつめて 踊ったりして
パーティーのお化粧を色々試して
子猫が照れて 嫉妬してるわ
うふっ!

ああ
昔なじみの 鏡よ鏡
あの若く美しかった日々を覚えていてね

(詞は大意です)


作曲者の平井がもうすぐ80歳になろうとする1989年の作品。しかしながらこのウィットにあふれたチャーミングな歌は、これまでの平井メロディのイメージを根本から覆すほどの破壊力のあるものです。ザ・日本歌曲の化身ともいえそうなそれまでの平井の作風を期待して初めてこの曲を関定子さんの録音で聴いたときは思い切り度肝を抜かれました。そのCDのライナーにあった作曲者自身の言葉がこの曲の斬新さを言い表していますのでここに引用させて頂きます。
『中年にさしかかった美女の心理を心憎いまでに詠った独白形式のユニークな詩。作曲者はこの詩の中の、今までの日本の詩に見られなかった高尚なユーモアとアイロニーを極めて得難いものと思い、ウインナ風のワルツ形式を使って軽快な中にサビの利いたウィットをこめ、極めてシャレた雰囲気を出し、また主人公の<含み笑い>の中の、ふだんは決して見せなかった女心の深層に肉薄しようとした(以下略 Toroikaレーベル 「うぬぼれ鏡〜関定子が歌う日本の抒情ライナーノートより引用)』
この野心的な試みは関定子さんという希代のパフォーマーの力もあって、見事に表現されたように思います。Youtubeでもいくつかアップされていてみなそれぞれにチャーミングなのですが、やはり気迫といいますか表現力の点で関さんの歌唱が図抜けています。平井晩年の野心作、ぜひ彼女の歌で一度は聞いてみてください。

( 2020.08.09 藤井宏行 )


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