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Die Heimat   Op.61-2  
  Sechs Hölderlin-Fragmente
故郷   
     六つのヘルダーリン断章

詩: ヘルダーリン (Johann Christian Friedrich Hölderlin,1770-1843) ドイツ
    Gedichte 1784-1800  Die Heimat

曲: ブリテン (Edward Benjamin Britten,1913-1976) イギリス   歌詞言語: ドイツ語


Froh kehrt der Schiffer heim an den stillen Strom,
Von fernen Inseln,wo er geerntet hat;
Wohl möcht' auch ich zur Heimat wieder;
Aber was hab' ich,wie Leid,geerntet? -

Ihr holden Ufer,die ihr mich auferzogt,
Stillt ihr der Liebe Leiden? ach! gebt ihr mir,
Ihr Wälder meiner Kindheit,wann ich
Komme,die Ruhe noch Einmal wieder?

穏やかな潮に乗り船人は嬉しく故郷に向う
遠い島々から、その獲物とともに;
私も故郷に喜ばしく帰りたい;
だが私は心の痛み以外に何を得たろう?・・・

優しい岸辺よ、私を育ててくれたお前は、
愛の苦しみを静めてくれるか? ああ!お前、
子供の頃遊んだ森よ、私が帰ったら
再び安らぎを与えてくれるのか?


 この歌曲集では前半四曲の詩が、1798年頃、ヘルダーリンが代表作の長編書簡小説『ヒュペーリオン』に取り組んでいた時の作品から選ばれています。愛国心と理想にとらわれてギリシャ独立戦争に出陣しながら、部下の残虐行為に理想を砕かれ、失意のまま帰国するヒュペーリオンの心情を思わせる詩です。なおこの詩には四連を追加して手を加えた全六連の改訂版があります。
 ブリテンの作曲は動的な第一曲と対照的に非常に洗練された悲歌的舟歌といった雰囲気で、この曲集の中でも耳に残る優れた歌曲と思います。ゆったりとした歌の後をピアノがカノン風に追うのが美しく興趣豊か。面白いのは「ああ!お前、子供の頃遊んだ森よ、」のところにクライマックスが置かれ、歌詞を繰り返していることで、ブリテンによる詩の解釈が伺われて興味深いです。自演盤のブリテンのピアノの精妙さ、ピアーズの情感豊かな歌は素晴らしい出来栄えです。

( 2007.01.15 甲斐貴也 )


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