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Is my team ploughing?    
  A Shropshire Lad
馬どもは耕しているだろうか?  
     シュロップシャーの若者

詩: ハウスマン (Alfred Edward Housman,1859-1936) イングランド
    A Shropshire Lad 27 Is my team ploughing?

曲: バターワース (George Sainton Kaye Butterworth,1885-1916) イギリス   歌詞言語: 英語


“Is my team ploughing,
That I was used to drive
And hear the harness jingle
When I was man alive?”

  Ay,the horses trample,
  The harness jingles now;
  No change though you lie under
  The land you used to plough.

“Is football playing
Along the river-shore,
With lads to chase the leather,
Now I stand up no more?”

  Ay,the ball is flying,
  The lads play heart and soul;
  The goal stands up,the keeper
  Stands up to keep the goal.

“Is my girl happy,
That I thought hard to leave,
And has she tired of weeping
As she lies down at eve?”

  Ay,she lies down lightly,
  She lies not down to weep:
  Your girl is well contented.
  Be still,my lad,and sleep.

“Is my friend hearty,
Now I am thin and pine,
And has he found to sleep in
A better bed than mine?”

  Yes,lad,I lie easy,
  I lie as lads would choose;
  I cheer a dead man's sweetheart,
  Never ask me whose.

馬どもは耕しているだろうか?
かつて私が御していた馬どもは
馬具をガチャガチャ鳴らしながら
私が生きていたときのように

  ああ 馬たちは働いているさ
  馬具は今もガチャガチャいってる
  きみがその下に眠っていても何も変わらないさ
  きみがいつも耕してた土の下にね

サッカーはまだやられているのだろうか?
あの川の岸辺で
皮のボールをみんなで追って
私はもうそこには立てないけれども

  ああ ボールは飛んでいるし
  若者たちは心の底から楽しんでる
  ゴールが立ってるし、キーパーも
  ゴールを守って立っているよ

私の恋人は幸せだろうか
別れが辛かったあの娘
涙は涸れているだろうか
夜 眠りにつくときには

  ああ 彼女は心安らかさ
  泣きながら眠ることはない
  きみの彼女は満ち足りているから
  安心して さあ お眠りよ

私の友は心優しいだろうか?
私はやせてやつれているが
友は安らぐ場を見つけているだろうか
私の死の床よりも良いベッドを

  ああ 私は安らいで寝られているよ
  若い男の好む寝方でね
  死んだ男の恋人を慰めてるんだ
  ただ誰の恋人かは聞かないように



若くして死んだ男とその友人との会話、最後に辛らつなオチが付いています。こういうさらっとした、しかしちょっとブラックなユーモアがイギリスの多くの作曲者の創作意欲をそそる詩なのか、ヴォーン=ウイリアムスなど他のイギリスの作曲家たちによって付けられたものにもいくつも有名な作品があります。バターワースのは消え入りそうに弱々しい声の死んでしまった主人公と、堂々と歌うその友人との掛け合いが何回も繰り返され、最後のオチもしみじみと終わります。音楽をあまりユーモラスにしていないところが何といいますかやるせない感じで、ゆったりと歌われるそのテンポといい曲想といい、こんなにシニカルな詩の内容であったというのはじっくりと訳してみるまで私は気が付きませんでした。
これはベンジャミン・ラクソンの歌が私にとっては非常に印象的でした。日本でも入手が容易なブリン・ターフェルのものも決して悪くはないのですけれどもちょっと表情が私には濃すぎるように感じられました。もっともこちらの方を好まれる方も多いでしょうか。
もとの詩集では第27番にある詩です。この詩集、時々こんな感じのシニカルなブラックユーモアを特に男女の関係に絡めて描写しているので思わずニヤリとさせられます。そんなところも1910年代の若者の心を惹いたところでもあるのでしょうね。

( 2007.01.20 藤井宏行 )


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