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An die Parzen    
  Vier Gesänge
運命の女神たちへ  
     4つの歌

詩: ヘルダーリン (Johann Christian Friedrich Hölderlin,1770-1843) ドイツ
    Gedichte 1784-1800  An die Parzen

曲: フォルトナー (Wolfgang Fortner,1907-1987) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Nur einen Sommer gönnt,ihr Gewaltigen!
Und einen Herbst zu reifem Gesange mir,
Daß williger mein Herz,vom süßen
Spiele gesättiget,dann mir sterbe!

Die Seele,der im Leben ihr göttlich Recht
Nicht ward,sie ruht auch drunten im Orkus nicht;
Doch ist mir einst das Heilge,das am
Herzen mir liegt,das Gedicht gelungen:

Willkommen dann,o Stille der Schattenwelt!
Zufrieden bin ich,wenn auch mein Saitenspiel
Mich nicht hinabgeleitet; einmal
Lebt ich,wie Götter,und mehr bedarfs nicht.


ただひと夏を与えてくれ、抗い難い者たちよ!
そしてただひと秋を、私の歌が熟すために与えてくれ
私の心が甘美な調べに満ち足りて
心おきなく死んでゆけるように

生きている間に神の与えた責務を全うしなかった魂は
地下の死の国でも安息を得ることはないだろう
しかし私が思いをかける聖なる業、
詩作を極めることが出来たなら

そのときは喜んで迎えよう、おお、影の国の静寂を!
たとえそこに琴を手にしてゆけなくても満足だ
一度は私も神のように生きた、
それ以上に何を求めようか

フォルトナーの、ヘルダーリンの詩による4つの歌曲の第一曲。恋人ディオティーマ(ズゼッテ・ゴンタルト夫人)との出会いにより自己の才能に自信を得た詩人の力強い創作活動への宣言です。一方で「影の国の静寂」には、彼の「精神の薄明」に生きた後半生を予言しているかのようです。

フォルトナーは戦後12音技法を採用しますが、この作品を書いた戦前〜戦中は新古典主義の作風で作曲しており、比較的聞きやすい作品になっています。

演奏はフィッシャー=ディースカウのライマン伴奏によるエンジェル盤。私が持っているのは、中古盤店で求めたボックス入りLPの「ドイツ歌曲大全集」第12巻に入っているもので、フォルトナーのヘルダーリン歌曲全4曲を収めています。以前紹介した「運命の歌」の彼の録音はロイター伴奏によるもので、これと「謝罪」は二種の録音があることになります。

( 2002.12.31 甲斐貴也 )


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