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Lob der Faulheit   XXVIa no.22  
  12 Lieder für das Clavier
怠惰への賛歌  
     12のクラヴィア伴奏歌曲第2集

詩: レッシング (Gotthold Ephraim Lessing,1729-1781) ドイツ
      

曲: ハイドン (Joseph Haydn,1732-1809) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Faulheit,endlich muß ich dir
Auch ein kleines Loblied bringen!
O!. . . Wie. . . sauer. . . wird es mir
Dich nach Würde zu besingen!
Doch ich will mein Bestes tun:
Nach der Arbeit ist gut ruhn.

Höchstes Gut,wer dich nur hat,
Dessen ungestörtes Leben. . .
Ach!. . . ich gähn!. . . ich. . . werde matt.
Nun,so magst du mir's vergeben,
Daß ich dich nicht singen kann:
Du verhinderst mich ja dran.


怠惰よ、とうとう俺もお前に
ちょっとした賛歌を贈ることにしたぜ!
ああ! マジで、めんどくせえ、俺が
お前を、歌でたたえるなんてぇのは
だが精一杯がんばってみようじゃねえか
一仕事のあとの休みは最高だからな

最高の気分だぜ、お前を手にした奴は
人生悩みなしだ
ああ! 眠い、俺は タリいぜ
でもお前は俺を許してくれるよな
俺がお前の歌を歌えないのは
お前が俺をじゃましてるからなんだし



ハイドンの歌曲というと、アメリンクがフィリップスレーベルにかなり大掛かりな歌曲集成を録音してくれていますが、あまり演奏会でも録音でも取り上げられることはないような気もします。ただ彼よりは多少人気のあるモーツアルトの歌曲と比べても決して遜色ない美しさとユーモアはもっと多くの人に知られてもいいのにな、と思い、ちょっと気に入った1曲を取り上げることにしました。
いいですねえ。こういうの。ベートヴェンやシューマンなんかは決して取り上げそうもない詩ですし、ハイドンが交響曲第94番「びっくり」なんかで存分に発揮したユーモアの精神が生き生きと発揮されています。
(実はシューマンにも「怠け者の天国 Vom Schlaraffenland」という歌曲作品もあるにはあるんですが、さほどユーモアとインパクトのある作品には残念ながらなっていないように私には思えました)
あまりにもすばらしいので、訳もすこし気合を入れて、市販のCDの対訳や歌曲集の楽譜では決して見られないようなものに仕上げてみました(かえって顰蹙か?)。しかし詩のなんとも情けない風情といい、音楽の思いっきりカッタルそうな流れといい、私は歌を聴いていてもこの訳の感じが一番しっくりきましたので、誰がなんと言おうがこのスタイルにこだわりたいと思います。
冒頭の聖歌風の短調のコラールがだんだんと崩れてきて、溜息をつきながら終わるあたりも人を食った感じで楽しい曲です。もっとも音だけ聴いているとこんな歌だとは気が付きにくいですが。

ワルター・ベリーやヘルマン・プライなんていう割とほのぼの系のバリトン歌手による味わい深い歌も聴くことができますが、この歌でやはり絶品だと思ったのはモーツアルトのシニカルな歌曲でも強烈な解釈を聴かせてくれたテノールのペーター・シュライアーです。この情けなさ、やる気のなさ、投げやりなところ、ちゃんと歌う気がなくて聴衆を思いっきり馬鹿にしているような表情のこの歌はたいへんすばらしいです(私の書いてることヘンですか?でもそういうことを要求される歌ですから)。
この歌も収録されているBerlin Classicsにあるペーター・シュライアーのハイドン歌曲集。男声で歌ったものとしては数少ないハイドンの歌曲集ですし、歌もこの曲に限らず素敵なのがたくさん聴けます。1982年の録音ということで彼の瑞々しい声も絶頂期。ハイドンのリリカルな歌に絶妙にはまって大変美しいです。
ぜひこの実力を過小評価されてかあまり人気のない大作曲家ハイドンの素敵な歌曲を皆さん味わってみてください。

( 2006.12.31 藤井宏行 )


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