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Le mariage des roses   FWV. 80  
 
バラの結婚  
    

詩: ダヴィッド (Eugène David,1784-1830) フランス?
      

曲: フランク (Cesar August Franck,1822-1890) ベルギー→フランス   歌詞言語: フランス語


Mignonne,sais tu comment,
S'épousent les roses?
Ah! cet hymen est charmant!
Quelles tendres choses
Elles disent en ouvrant
Leurs paupières closes!
Mignonne,sais tu comment
S'épousent les roses?

Elles disent: Aimons nous!
Si courte est la vie!
Ayons les baisers plus doux,
L'âme plus ravie!
Pendant que l'homme,à genoux,
Doute,espère,ou prie!
Ô mes soeurs,embrassons-nous
Si courte est la vie!

Croix-moi,mignonne,croix-moi,
Aimons nous comme elles,
Vois,le printemps vient à toi,
Et,des hirondelles
Aimer est l'unique loi
À leurs nids fidèles.
Ô ma reine suis ton roi,
Aimons nous comme elles.

Excepté d'avoir aimé,
Qu'est-il donc sur terre?
Notre horizon est fermé,
Ombre,nuit,mystère!
Un seul phare est allumé,
L'amour nous l'éclaire!
Excepté d'avoir aimé,
Qu'est-il donc sur terre?

かわいい人よ、知っているかい
バラたちがどうやって結婚するのかを?
ああ!それはとても素敵なんだ!
なんとも可愛らしいことに
かれらは優しいことばを交わす
閉じていた花びらを開く時に
かわいい人よ、知っているかい
バラたちがどうやって結婚するのかを

かれらはこう話すんだ:「愛し合おう。
花の命は短いのだから!
もっと甘いくちづけをしよう
もっと楽しい心を持とう!
人間たちがひざまずき、
疑い、望み、祈っている時に
おお、わが姉妹よ、抱き会おう
花の命は短いのだから」 と

ぼくを信じて、いとしい人、信じて
ぼくらも愛し合おう バラたちのように
ほら、春はきみのところにやって来たのだし
ツバメたちにとっても、
愛こそがただひとつの決まりなのだから
彼らの愛の巣の中では
おお、ぼくの女王さま、王様についておいで
ツバメたちのように愛し合おう

もしきみが愛してくれなければ
この世に何の意味があるというんだ?
地平線は閉ざされ、
影と夜闇とみじめさだけだ!
ただひとつの明かりといえば
それは愛だ、ぼくらが照らす
もしきみが愛してくれなければ
この世に何の意味があるというんだ?


セザール・フランクの歌曲の中では最も有名なもののひとつです。
フランクというと、あの端正なヴァイオリンソナタや重厚な交響曲、あるいはクリスマスの定番歌曲「天使のパン」などで知られていますから、非常に真面目な作品ばかり書いていた人のように思ってしまいますけれども、こと歌曲に関してはこんな感じの可愛らしい曲を書いていたりします。詩も可愛いですが曲もそれに増してチャーミングで、まるで幼い子供の恋愛を見ているような感じですが、しかし気品にも欠けていないのがフランクらしいところです。
この曲、なんとフィッシャー・ディースカウが録音しており、あのビロードの声と知的な解釈で、実に面白く聴かせてくれます。こんな味わいの歌曲はドイツにはなさそう(しばらく考えてみましたが思い付きませんでした)なので貴重です。
彼のフランス歌曲集(Teldec)、ベルエポックの歌曲と題して、パリのサロンで歌われたであろうアーンやシャブリエの歌曲を集めてとても素敵です。
あとはやはり、気品と美しいフランス語を聴かせてくれるモラーヌのバリトン(Erato)でしょうか。

( 2003.11.10 藤井宏行 )


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