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Das weiße Spitzchen   Op.60-20  
  Das stille Leuchten
白い小峰  
     歌曲集『静かなる輝き』

詩: マイヤー (Conrad Ferdinand Meyer,1825-1898) スイス
    Gedichte: III. In den Bergen  Das weiße Spitzchen

曲: シェック (Othmar Schoeck,1886-1957) スイス   歌詞言語: ドイツ語


Ein blendendes Spitzchen blickt über den Wald,
das ruft mich,das zieht mich,das tut mir Gewalt:

“Was schaffst du noch unten im Menschengewühl?
Hier oben ists einsam! Hier oben ists kühl!

Der See mir zu Füßen hat heut sich enteist,
er kräuselt sich,flutet,er wandert,er reist.

Die Moosbank des Felsens ist dir schon bereit,
von ihr ists zum ewigen Schnee nicht mehr weit!”

Das Spitzchen,es ruft mich,sobald ich erwacht,
am Mittag,am Abend,im Traum noch der Nacht.

So komm ich denn morgen! Nun laß mich in Ruh!
Erst schließ ich die Bücher,die Schreine noch zu.

Leis wandelt in Lüften ein Herdegeläut:
“Laß offen die Truhen! Komm lieber noch heut!”

眩い小峰(こみね)が森の上に見える
それは私に呼びかけ、惹きつけ、意のままにする:

「下界の人ごみの中でいつまでやっている気だい?
 ここには孤独がある! 清々しい空気がある!

 麓の湖の氷は今日融けて
 さざめき、溢れ、流れ出し、旅に出たよ

 岩場の上には苔の敷物の用意も出来ている
 そこから万年雪までは間近じゃないか!」

目覚めるとすぐに小峰は私を呼ぶ
昼も、晩も、夜の夢の中でも

ならば明朝にも行くよ! だからもう休ませてくれ!
本を閉じ、そして戸棚を閉じる

空気にかすかに羊鈴の響きが漂う:
「道具箱は開けておきなよ! 今日のうちに来た方がいいよ!」


 万年雪を戴く小峰に、自らの山への強い憧れを語らせるユーモラスな詩。アルプスの山々を愛したマイヤーの詩集には「山々にて」という章があり、シェックはそこから6篇に作曲しています。万年雪の輝きと家畜の鈴の音は、詩人に山への強い憧れを惹き起こすようですが、そこに同じスイス人シェックの共感があるのでしょうか。

小峰の口調をどうするかがポイントですが、シェックが有節歌曲風の可愛らしい小唄に仕上げているので軽い感じにしました。駄目押しの最終節でテンポと音量を落とすのが非常に効果的です。

 演奏はフィッシャー=ディースカウもいいですが、曲調が曲調だけにメゾのヘドヴィク・ファスベンダーもいい感じです。

( 2006.12.11 甲斐貴也 )


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