春の月 |
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菫の花の春野の末に 月は のぼりてゐたりけり 摘草歸り 手をとりて 樂しき子等を 見送り顔に 横伏す丘の櫻の枝に 月は のぼりてゐたりけり 花賣りをへて歸り行く 乙女の歌に さそはれ顔に 山門つゞき御堂の上に 月は のぼりてゐたりけり 童の吹ける花蔭の 遠音の笛を喜び顔に |
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( 2020.02.11 藤井宏行 )