マリーのきてん 大正少年唱歌 |
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敵に追われた自國の兵士 かくしてやるにも戸棚が無くて 困り果てたるマリーのきてん 「しばらくつんぼのおばあ様」 頭巾をかぶらせ着物を着せて 肩かけ掛けさせ 前垂させて 敵は四五人どやどや入り 「この家に兵士をかくしただらう」 「いいえ いいえ」と マリーの返事 「たしかに來た筈 それ探せ」 あちらこちらを探して見ても 兵士はゐないで ばあ様一人 「ばあ様お前は知ってるだらう」 「ハイハイ今日も 良いお天氣で」 「ばあ様つんぼだお氣の毒」 敵兵笑って出て行けば 命拾った兵士も笑顔 ばあ様マリーも 互いに笑顔 頭巾肩掛前垂着物 手早く脱ぎすて 自國の兵士 ばあ様 マリーにお禮をいつて 本隊尋ねて急ぎ行く マリーのきてんは兵士の命 助けた救つたマリーのきてん |
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( 2020.02.11 藤井宏行 )