鹿の水かゞみ |
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山の奥から水飲みに 鹿が谷へと出て來たが たまたま自分の影をながめ きれいな角だと見とれてゐる きれいきれい うれしうれし 犬は見るより喜んで 鹿を目がけて吠えつける あはてゝ逃げる姿をかし されども流石に足の早さ はやいはやい うれしうれし 鹿は見る間に逃げのびて 森の木蔭に息つけば 又もやきざす自慢心 よろこび誇る足の早さ みごとみごと うれしうれし 犬も間もなく嗅ぎ出せば 鹿が逃げ出す其の時に 自慢の角は早も枝に 自慢の四つ足早も犬に あはれあはれ うれしうれし |
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( 2020.02.11 藤井宏行 )