曾我兄弟 |
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富士の裾野の雨ふる夜中 松明かざして道をば照らし 工藤の館に踏み込み見れば 奥に祐経すやすや眠る 父の仇ぞ祐経起きよ 曽我の兄弟仇を打つと 枕を蹴飛ばし鋭い聲で 兄と弟が名乗りを上げる 武士の中でもその名の知れた 工藤祐経驚きながら 刀を引き寄せあわてもせずに よくも來たぞと二人を睨む 今ぞそれ撃て十八年の 父の恨みをはらすは今ぞ 兄と弟が斬り込む太刀に 仇祐経その場に弊る 兄と弟が心を合せ 恨み晴らした此の物語 幾百千年萬年までも 富士の高嶺と其の名も高い |
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( 2020.02.11 藤井宏行 )