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Era di maggio    
 
5月に  
    

詩: 不詳 (Unknown,-) 
      Im wunderschönen Monat Mai 原詩: Heinrich Heine ハイネ,Buch der Lieder - Lyrisches Intermezzo(歌の本-抒情小曲集)

曲: フランケッティ (Alberto Franchetti,1860-1942) イタリア   歌詞言語: イタリア語


Era di maggio nel dolce mese,
quando dal germe sboccia ogni fior
Sbocciò l'amor
l'amor s'accese entro il mio cor.

Era di maggio nel doce mese
quando cantavano tutti gli augei
il mio desir le fei
palese e i voti miei.

Era di maggio nel dolce mese,
quando dal germe sboccia ogni fior

それは五月、美しい季節のことだった、
すべての花のつぼみが開くとき
花開いたのだ 愛も
愛がぼくの心の中にも燃え上がった

それは五月、美しい季節のことだった、
すべての鳥たちが歌うとき
ぼくのあの人への思いを
打ち明けて、そしてぼくを捧げたのだ

それは五月、美しい季節のことだった
すべての花のつぼみが開くとき

 中丸三千繪さんのイタリア近代歌曲集の2枚は大変素晴らしいアルバムだと思います。カロミオベンとかの古典歌曲を入れる歌手はたくさんいますけれども、トスティを除くイタリア近代作曲家の歌曲集のCDはなかなかありませんよね。私もこのアルバムでレスピーギやピツェッティに素敵な歌曲があることを初めて知り、またジョルダーノやレオンカヴァルロ、マスカーニなどのオペラ作曲家の珠玉の小品を堪能させてもらうことが出来ました。レオンカヴァルロの歌曲の雄弁さなどとりわけ聴き物です。
そんな中でも、今や忘れられてしまった作曲家たちの作品もたくさん収められているのは特筆すべきでしょう。これらの曲も、名の知れた作曲家の作品と比べて、そんなに遜色があるわけではありません。
第1集で私が惹かれたのが、このFranchetti (1860‐1942)の作品、おわかりのように、シューマンが「詩人の恋」の第1曲で使ったハイネの詩のイタリア語訳に付けた曲です。イメージはこのシューマンの有名曲そのままに(ピアノの分散和音に乗って語るように歌うところなどソックリ)、しかしながらそこは歌の国イタリア、気持ちの盛り上がるところは大変パワフルです。
中丸さんの声で聴くと、R-シュトラウスの良質なオペラを思い起こさせるような透明で、それでいて雄弁な名曲に仕上がっているように私は感じました。
最後に2行、シューマンのにはないリフレインがあって消え入るように終わるのも心憎い演出(クサイともいうが)です。
作曲家のフランケッティは、近代イタリアのマイアベーアとも呼ばれた人なのだそうですが、マイアベーア同様忘れられてしまいました。
私も他に作品を聴いたわけではないのでなんとも言えませんが、そんなに凡庸な人のような気はしないのですが。

( 1999.05.02 藤井宏行 )


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