Heart's Heaven The House of Life |
心安まる所 歌曲集『生命の家』 |
Sometimes she is a child within mine arms, Cowering beneath dark wings that love must chase,-- With still tears showering and averted face, Inexplicably fill'd with faint alarms: And oft from mine own spirit's hurtling harms I crave the refuge of her deep embrace,-- Against all ills the fortified strong place And sweet reserve of sovereign counter-charms. And Love,our light at night and shade at noon, Lulls us to rest with songs,and turns away All shafts of shelterless tumultuous day. Like the moon's growth,his face gleams through his tune; And as soft waters warble to the moon, Our answering spirits chime one roundelay. |
時にあの人は私の腕で幼子となり 愛の求むべき秘匿の翼に覆われ蹲る 静かに涙し背けたその顔は 何故か模たる怖れに満ちている そして私は魂の度重なる危難に あの人の熱き抱擁の加護を熱望する それはいかなる邪悪にも堅固に守られ 聖なる魔除けの甘美に蓄えられるところ そして愛の神、夜の輝きにして真昼の陰は 歌にて憩いへ誘い、防いでくれる 騒がしく隠れ所なき昼の放つ矢じりの全てを 満月がその調べにのり仄かに光るように 静まる水面が月に声震わせて歌うように ふたりの呼び交わす魂はひとつの輪唱を奏でる |
今年の初め頃取り組んでいて、難しさのあまり放置していたものですが、今回ほぼ全面的に改めて、なんとかソネットらしく仕上げたつもりです。しかし2行目はいまだ納得がいかないところがあります。
相変わらず、物々しく美麗な言葉をちりばめた荘重なる自己陶酔といった詩ですが、ヴォーン=ウィリアムスのロマンティックな作曲により、格調高く魅惑的な愛の歌に高められていると思います。
演奏はバリトンのウィリアムス(ナクソス)、テノールのロルフ=ジョンソン(英エンジェル)。
( 2006.11.23 甲斐貴也 )