Villes Op.18-2 Les Illuminations |
大都会(街々) イリュミナシオン |
Ce sont des villes! C'est un peuple pour qui se sont montés ces Alleghanys et ces Libans de rêve! Des chalets de cristal et de bois qui se meuvent sur des rails et des poulies invisibles. Les vieux cratères ceints de colosses et de palmiers de cuivre rugissent mélodieusement dans les feux. Des fêtes amoureuses sonnent sur les canaux pendus derrière les chalets. La chasse des carillons crie dans les gorges. Des corporations de chanteurs géants accourent dans des vêtements et des oriflammes éclatants comme la lumière des cimes. Sur les plates-formes au milieu des gouffres les Rolands sonnent leur bravoure. Sur les passerelles de l'abîme et les toits des auberges l'ardeur du ciel pavoise les mâts. L'écroulement des apothéoses rejoint les champs des hauteurs où les centauresses séraphiques évoluent parmi les avalanches. Au-dessus du niveau des plus hautes crêtes une mer troublée par la naissance éternelle de Vénus, chargée de flottes orphéoniques et de la rumeur des perles et des conques précieuses, - la mer s'assombrit parfois avec des éclats mortels. Sur les versants des moissons de fleurs grandes comme nos armes et nos coupes,mugissent. Des cortèges de Mabs en robes rousses,opalines, montent des ravines. Là-haut,les pieds dans la cascade et les ronces, les cerfs tettent Diane. Les Bacchantes des banlieues sanglotent et la lune brûle et hurle. Vénus entre dans les cavernes des forgerons et des ermites. Des groupes de beffrois chantent les idées des peuples. Des châteaux bâtis en os sort la musique inconnue. Toutes les légendes évoluent et les élans se ruent dans les bourgs. Le paradis des orages s'effondre. Les sauvages dansent sans cesse la fête de la nuit. Et une heure je suis descendu dans le mouvement d'un boulevard de Bagdad où des compagnies ont chanté la joie du travail nouveau, sous une brise épaisse,circulant sans pouvoir éluder les fabuleux fantômes des monts où l'on a dû se retrouver. Quels bons bras,quelle belle heure me rendront cette région d'où viennent mes sommeils et mes moindres mouvements? |
これぞ都会だ! アレゲニーやレバノン山脈から夢見心地で やってきた人々の集まりだ! 水晶や木でできた山小屋が 見えないレールや滑車の上を動いている。 巨像や赤銅色のパームツリーに囲まれた 古い噴火口が火を噴いて音楽的なうなりを立てる。 愛の祝宴の調べが鳴り響く、 山小屋の後ろに架かる水路の上で。 カリヨンの狩りのメロディが峡谷の上に鳴り渡る。 巨人の歌手たちの組合が 山のてっぺんの御来光のような輝く服装と 旗指物とで駆けつけてくる。 舞台の上ではローランたちが 武勲の歌を吹き鳴らす。 深い淵に掛けられた歩道橋や宿屋の屋根には 空の熱が柱を飾る。 栄光の崩壊が、 天上の女ケンタウロスたちが 雪崩の間を動き回っているような高原へと繋がる。 最も高い稜線の上に海が、 ヴィーナスの誕生で波立つ海が、 オルフェウスたちの艦隊と、真珠や高価な 貝のざわめきを乗せて -海はまた時折死の閃光で暗くなる。 斜面では我らの武器やビールジョッキみたいに 大きな花の取り入れの叫びがする。 あずき色やオパール色をした服を着たマブたちの長い行列が 谷底から登ってくる。 上の方では、足を激流と茨に突っ込んで、 鹿たちがダイアナの乳を吸う。 郊外のバッカスの巫女たちはすすり泣き、月は燃えながら叫ぶ。 ヴィーナスは鍛冶屋や世捨て人たちの洞穴に入る。 一群の鐘が民衆の理想を奏でる。 骨で作られた城から聞きなれぬ音楽が聞こえてくる。 すべての伝説が立ち上がり、街には熱情が押し寄せる。 嵐たちのパラダイスは崩れ落ちる。 野蛮人たちは休まず踊る夜の祭を。 そして一時間私は降りてきた、新しい仕事の喜びを 仲間たちが歌っているバグダッドの大通りへと。 どんよりとしたそよ風の中、人々が自分をそこで見つけ出すという 山に住んでいるおとぎ話の山の幽霊たちを避けられずに歩き回る。 どんな優しい腕が、どんな大切な時間が私を連れ戻してくれるのか、 私の眠りと私の最も小さな動きをもたらしたあの場所へと? |
いきなり難解な詩です。またとても長い...ブリテンの曲では詩の一部がカットされていますがここでは全部を取り上げて訳し、曲に使われている部分を太字で強調しました。原詩は改行がなく、各文がつらつらと繋がって長大な散文詩をなしていますが、対訳にするとたいへんに見にくいので各文ごとに改行を入れました。イルミナシオンの雰囲気を壊しているかも知れませんがご了解を。実際の歌の中では“Ce sont des villes!(これぞ都会だ!)”のフレーズが途中に繰り返し繰り返し挿入されて耳に残ります。大都会のせわしなさを絶妙に表現しているスケルツォの音楽はこの「イルミナシオン」の中でも音として際立って印象的ではないでしょうか。詩を読まなくても私は音だけから摩天楼の下で自動車がひしめき合って騒音を立てている情景をイメージしました。
そのあとで詩を見ると、伝説上の人物やら大自然の情景やらがとめどなく現れてきていますけれどもこれらはなんだか都会の中を実際に動き回っているものや、あるいは喧騒を引き起こしている様々なものを喩えているように感じられます。水晶や木でできた山小屋っていうのは市電のようなイメージですし、巨像やパームツリーに囲まれた噴火口というのは競技場に集まった観衆がウオーっというような声を上げているのを連想しました。鐘がジャラジャラと定時になるのは都会では当たり前の騒音ですし、マブたちの長い行列、というのは工場の女工さんたちの集団のようです(「マブ」というのは妖精の女王のことだとか)。
ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」で描かれたような海の情景が現れたかと思うと、今度は月の女神ダイアナです。あとの様々な登場人物の解説はイルミナシオン全詩の翻訳と解説をされている門司邦雄さんのサイトにお任せしたいと思います。それに最後の「どんな優しい腕が」のところの深い意味についても...なるほどこの大都会はロンドンとも読めますね。
( 2006.11.23 藤井宏行 )