Recueillement L 64 Cinq Poèmes de Baudelaire |
黙想 ボードレールの5つの詩 |
Sois sage,ô ma douleur,et tiens-toi plus tranquille; Tu réclamais le soir: il descend,le voici! Une atmosphère obscure enveloppe la ville, Aux uns portant la paix,aux autres le souci. Pendant que des mortels la multitude vile, Sous le fouet du Plaisir,ce bourreau sans merci, Va cueillir des remords dans la fête servile, Ma douleur,donne moi la main; viens par ici Loin d'eux. Vois se pencher les défuntes Années, Sur les balcons du ciel,en robes surannées. Surgir du fond des eaux le Regret souriant; Le soleil moribond s'endormir sous une arche; Et,comme un long linceul traînant à l'Orient, Entends,ma chère,entends la douce nuit qui marche. |
行儀良くしなさい、おおわが苦しみよ、もっと静かにするのだ お前は夕暮れを求めていたね。それが降りてきた、ほらここに 薄暗い大気が街を包んでいく ある者には平穏を、またある者には悩みをもたらしながら 死ぬことを運命付けられた人の群れが 無慈悲な死刑執行人である「快楽」に鞭打たれて 奴隷の気晴らしへの逃避で後悔の穂を刈り取っている わが苦しみよ、お前の手を貸してくれ、こちらへ来てくれ そんな慰みから離れて、ご覧よ、死んだ年月が横たわっている 天国のバルコニーの上で、流行遅れの服を着て 水の底からは、後悔が微笑みながら現れてくる アーチの下では死にゆく太陽が眠りにつく 長い死装束の帯を東の果てまで伸ばして 聴け、いとしい人、穏やかな夜がやってくるのを聴くのだ |
これはドビュッシーの付けたボードレールの詩5曲の中では一番影が薄いですが、ちゃんと訳しながら聴くとなかなかどうして素晴らしいです。詩の内容が内容だけに最初は非常に地味に朗唱で始まりますが、気持ちの昂ぶりと共にメロディアスに力強く盛り上がっていきます。そして最後の夜の訪れのところの描写の見事さ!
めくるめく曲想の変化が詩の内容と連動して発展していく様子はフランス語の意味も分からずに音だけ聴いていたときには全然分からなかったのですが、こうして下手ででも意味を取ってから改めて聴くと本当に凄いものがありました。詩はちょっと難解なところもあるソネットですが、まあそれなりに補足しなくても意味が取れるかと思います。
( 2006.11.19 藤井宏行 )