Ni slova,o drug moj Op.6-2 6 Romansov |
語るな、おお友よ 6つのロマンス |
Ni slova,o drug moj,ni vzdokha, my budem s toboj molchalivy: Ved’ molcha nad kamnem mogil’nym sklonjajutsja grustnye i vy. I tol’ko,sklonivshis’,chitajut, kak ja,v tvoem serdtse ustalom, Chto byli dni jasnogo schast’ja... Chto etogo schast’ja ne stalo... Chto etogo schast’ja ne stalo... |
語るな、おお友よ、溜息すらもせず 君と共にぼくは黙っていよう まさに、墓石の上に押し黙って 悲しい柳の木がしなだれかかっているように そしてただ、しなだれかかって読むのだ、私のように 君の疲れた心の中に 幸せな日々がかつてあったことを その幸せはもう戻らないことを その幸せはもう戻らないことを |
チャイコフスキーが好んで書くクラーい歌曲のはしりみたいな曲です。彼はけっこうこんな感じの地味な悲しい歌をたくさん書いていますが、その中でもこれはかなり良く出来た作品でしょうか、初期の作品にも関わらずチャイコフスキーの歌曲集であれば大抵のものにこの曲は収められています。濃厚な、浸りこむようなメロディが印象的なまさにロシアの歌という味わいですが、詩はもともとドイツ?の詩人モリツ・ハルトマン Moritz Hartman (1821-1872)の手になるSchweigen(沈黙)という題の詩をチャイコフスキーの友人でもある詩人のプレシチェーエフが翻訳したものに付けています。
プレシチェーエフの付けた題も「沈黙」だったようですが、歌曲はたいてい冒頭の一節である「語るな おお友よ」(若干のバリエーションあり)で通っています。
ヴィシネフスカヤやボロディナなどの名唱もありますが、この絶望に満ちた悲嘆はやっぱり男声で私は聴きたいです。ギャウロフのバスによる歌が私には絶品でした。
#最初のエントリーではネステレンコの録音と書きましたがどうも私の思い違いのようで、Russian DiscとMelodyaにある彼の歌曲集、あるいは85年の来日ライブともにこの曲は含まれていませんでした。ギャウロフのは旧録(Decca)のもの。伸びのよい美声が魅力的です。
( 2006.11.06 藤井宏行 )