秋のおとづれ |
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噴水の空に悲しく いつしかに まばらとなりし 公園の木立をすぎて 淡き月のかげに歌へり 若き日の夢にありやと 椅子によりうつけ心に 眺めやる木の間の奥に 鳥やなくかへらぬ昔 あを色にたたる空を 吹き過ぎし月のおとづれ 月に見えぬ時は心に 涙をやさそひ來ぬらん 篠懸や楓や樅や 黄ばみたる木の葉の小徑 遇う人もうつつにあらね 影となる秋のまぼろし |
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( 2020.01.03 藤井宏行 )