When I was one-and-twenty A Shropshire Lad |
俺が20と1歳だったときに シュロップシャーの若者 |
When I was one-and-twenty I heard a wise man say, “Give crowns and pounds and guineas But not your heart away; Give pearls away and rubies But keep your fancy free.” But I was one-and-twenty, No use to talk to me. When I was one-and-twenty I heard him say again, “The heart out of the bosom Was never given in vain; 'Tis paid with sighs a plenty And sold for endless rue.” And I am two-and-twenty, And oh,'tis true,'tis true. |
俺が20と1歳だったときに 賢い人がこう言ってた 「栄誉や富や才能は人にくれてやっても 心意気だけは捨てるな 真珠やルビーは人にやっても 夢だけは持ち続けろよ」と でも俺は21歳だったから 彼の言葉はわからなかった。 俺が20と1歳だったときに 賢い人はまたこういった 「胸の底にある心は 無駄に売り渡してはいけないよ たくさんの溜息を受け取って 限りない後悔と引き換えに売り渡されるのだから」 今、俺は20と2歳 そしてああ。それは本当だ 本当だ |
これくらいの歳が人間が大きく成長する時期ということでしょうか。21歳から22歳のわずか1歳でそんなに違うのだろうか、と22歳当時はモラトリアムの大学生活を過ごしていた私なぞは思ってしまうのですが、たぶんその1年間にどれだけの経験をできたか?が重要なのだ、ということを言っているのでしょう。ただ読みようによってはただの酔っ払いオヤジの説教を素直に聴いている新入社員の慨嘆のようにも読めてしまいますので、読み手の精神状態にも依存するところでしょうか。
第一曲の精妙さに対してこちらはちょっとおどけた軽快さが魅力でしょう。第1曲が20歳の歌で、そしてこの曲が22歳の歌というのも構成の妙。ちなみにこの詩は詩集の第13番目の詩に当たります。20歳そこそこの若者が慨嘆しているように聴こえるのにはやはりテノールの方が似合っているでしょうか。そこでこちらも私の愛聴盤は第1曲目同様にアンソニー・ロルフ=ジョンソンのもの。この歌曲集は前半の若々しさあふれる人がニヒリズムに陥っているような感じで歌っているのが良く合っている3曲と、年配者がしみじみと昔を懐かしむような歌い方が合っている後半3曲とに分かれるのも面白いところです。
( 2006.10.25 藤井宏行 )