霰三題 |
|
廂(ひさし)をたたく 音高く 命あるごと 争ひて はねて 跳(をど)りて 鉢植の 萬年青(おもと)の 葉と葉に はさまりて ただ一粒が 紅(あけ)の實に ふと並びたる 霰かな 大空くらく 風うなり 雲の上なる 國原(くにばら)に おぞや いくさの 始まりて たけなはなりとや それ弾丸の 飛び來る如く 散る如く 今 降りしきる 霰かな 村より村へ ひねもすを 手ぶり足ぶり おもしろく 猿をまはして をどらせて 疲れて歸る 猿曳(さるびき)の 背に寒寒(さむざむ)と 眠りをる 猿 驚かす 霰かな |
|
( 2019.12.22 藤井宏行 )