Moj genij,moj angel,moj drug |
ぼくの守り神、ぼくの天使、ぼくの友よ |
Ne zdes’ li ty legkoju ten’ju, Moj genij,moj angel,moj drug, Beseduesh’tikho so mnoju I tikho letaesh’ vokrug? I robkim darish’ vdokhnoven’em, I sladkij krachuesh’ nedug, I tikhim darish’ snoviden’em, Moj genij,moj angel,moj drug! |
ここではないのか、きみが軽やかな影になるのは ぼくの守り神、ぼくの天使、ぼくの友よ そして穏やかにぼくに語りかけてくれて ぼくのまわりを静かに舞ってくれるところは? きみはぼくに内気な霊感を 素敵な痛みをくれた そして静かな夢をくれたのだ ぼくの守り神、ぼくの天使、ぼくの友よ |
民謡風の素朴な抒情に持ち味のある詩人フェートの手になる詩に、まだ10代のチャイコフスキーが曲を付けた彼の最初の歌曲作品です(1857頃の作品)。
すでに彼の歌曲作品の個性が見えるからか、割と取り上げられる機会も多いようでホロフトフスキーやボロディナはじめいくつかの名唱は容易に耳にすることができると思います。
ただ、訳していて悩んだのはgenij、英語でいうとgeniusに当たる言葉は普通に訳すと「天才」ですが、他にも守護霊や精神といったかなり幅広い訳語が当てはまります。ここでは「いつも私の心の中にいる人」ということで「想いの人」と訳すのがいいかな、とも思ったのですが、そう強くこだわる程の決め手も見つからなかったので多くの既訳同様に「守り神」としました。恋人に対する呼びかけの日本語としては少々不自然な気もしなくはないですけれども。
( 2006.10.06 藤井宏行 )