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Le Suicidé   Op.135-4  
  Symphony no. 14
自殺  
     交響曲第14番「死者の歌」

詩: アポリネール (Guillaume Apollinaire,1880-1918) フランス
      Le Suicidé

曲: ショスタコーヴィチ (Dimitry Shostakovich,1906-1975) ロシア   歌詞言語: フランス語


Trois grands lys Trois grands lys sur ma tombe sans croix
Trois grands lys poudrés d'or que le vent effarouche
Arrosés seulement quand un ciel noir les douche
Majestueux et beaux comme sceptres des rois
L'un sort de ma plaie et quand un rayon le touche
Il se dresse sanglant c'est le lys des effrois
Trois grands lys Trois grands lys sur ma tombe sans croix
Trois grands lys poudrés d'or que le vent effarouche
L'autre sort de mon coeur qui souffre sur la couche
Où le rongent les vers L'autre sort de ma bouche
Sur ma tombe écartée ils se dressent tous trois
Tout seuls tout seuls et maudits comme moi je croi
Trois grands lys Trois grands lys sur ma tombe sans croix

三本の大きなユリ、三本の大きなユリ、十字架のない私のお墓の上の
三本の大きなユリ、金の粉のかかった大きなユリが風に揺れる
黒い空から雨が降るときだけ濡れて
王様の杖のように堂々として美しい
一本は私の傷口から生えた、そして陽が当たるとき
血に染まったようになる、それは恐怖のユリ
三本の大きなユリ、三本の大きなユリ、十字架のない私のお墓の上の
三本の大きなユリ、金の粉のかかった大きなユリが風に揺れる
もう一本は柩の床の上で苦しむ私の心臓から生えた
床は虫が食い荒らしている、もう一本は私の口から生えた
隔離された私の墓の上で みな寂しく立っている
みんな孤独、みんな孤独、そして私のように呪われているの、きっと
三本の大きなユリ、三本の大きなユリ、十字架のない私のお墓の上の


キリスト教では自殺は許されていませんので、もしした者があればその墓には十字架はないのだといいます。また隔離された私の墓(ma tombe écartée)とあるのも自殺者が忌避されていることの現れでしょうか。まさに死して後にも永遠に続く刑罰のようです。日本の感覚でいえば、誰も供養することのない無縁仏の墓に侘しく生えている彼岸花という感じでしょうか。
アポリネールの詩としては「雑詩集」というのに入っているようで、書かれた背景などについては調べられませんでした。
前の楽章「ローレライ」から切れ目なく続くこの楽章「自殺」は、まさにライン川に身を投げたローレライが自分のことを歌っているのでしょうか。
チェロの消え入りそうなソロと共にまるで亡霊がつぶやくかのようなか細くも悲しげな歌が、ドラマティックな前楽章と非常に対照的にひたすら悲しくも美しく響きます。この曲はユリア・ヴァラディの歌で聴いてもあまりフランス語っぽく聴こえませんでした。それが音楽の付け方が原語とミスマッチなのか、はたまた彼女の歌い方に問題があるのかは分かりませんでしたが、ともかく次の楽章の跳ねるような面白いフランス語の響きの面白さが感じられなかったのは事実です。まあそれはさておいても、この病んだ美しさはハマれる人はとことんはまれるのでしょうね。

( 2006.09.23 藤井宏行 )


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