Hymn Op.31-6 Serenade for tenor,horn and strings |
賛歌 テノール・ホルンと弦楽のためのセレナード |
Queen and huntress,chaste and fair, Now the sun is laid to sleep, Seated in thy silver chair, State in wonted manner keep: Hesperus entreats thy light, Goddess excellently bright. Earth,let not thy envious shade Dare itself to interpose; Cynthia's shining orb was made Heav'n to clear when day did close; Bless us then with wished sight, Goddess excellently bright. Lay thy bow of pearl apart, And thy crystal shining quiver; Give unto the flying hart Space to breathe, how short so-ever: Thou that mak'st a day of night, Goddess excellently bright. |
女王さまにして狩の女神、穢れなくも美しきお方よ 今や太陽も眠りにつきました あなたの銀の玉座へと座り いつも通りのやり方でこの国をお治め下さい 宵の明星もあなたの光を望んでいます いとも輝かしき女神様よ 大地よ、汝の嫉妬の翳りを 立ちふさがらせないで下さい 女神シンシアの輝く航跡が創られたのです 昼が終わった後も天を輝かすようにと 意思に満ちた眼差しで我らを祝福ください いとも輝かしき女神様よ 真珠の弓を傍らにお置きください そして水晶の輝く矢筒も置いて 空を駆ける牡鹿にお与えください 息をつく暇を、わずかの間であれ 夜をも昼のようにするあなた いとも輝かしき女神様よ |
月の女神シンシアを讃える見事なベン・ジョンソン (1572-1637)の詩、端整に整った形式の中からキラキラと光り輝くイメージが描写されとても見事です。
日本の朧月のポワーンとした雰囲気よりは、もっと輝かしくも研ぎ澄まされたイメージを月に見ているのが大変興味深いところです。ブリテンの付けた曲も輝くようなプレスト。踊るようなホルンに弦のピチカート、それに掛け合いながら軽やかに歌うテノール。印象的な曲の続くこのセレナードの中でもひときわ心に響きます。
ピアーズのテナーの歴史的録音(ホルンをデニス・ブレインが演奏しているもの)が凄かったですが、もっと軽やかで楚々とした感じのボストリッジ(ラトル/BPOと入れたものは未聴で、私が聴いたのはメッツマッハー/バンベルク響のものです)もこの曲の持つ華やかさに満ちてなかなか良かったです。(2006.09.17)
( 2007.09.15 藤井宏行 )