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Zdes’ siren’ tak bystro uvjadaet   Op.54-5  
  5 romansov
この世ではリラの花も色あせ  
     5つのロマンス

詩: 不詳 (Unknown,-) 
      Ici-bas tous les lilas meurent 原詩: René-François Sully-Prudhomme シュリュ=プリュドム

曲: キュイ (César Antonovitch Cui ,1835-1918) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Zdes’ siren’ tak bystro uvjadaet,
I nedolgo slysho pen’e ptits;
O vechno svetlykh dnjakh ja mechtaju,-
Uvy,ikh net!

Zdes’ usta,vstrechajas’ v potselue,
Ne ostavljajut i sleda;
O vechnykh lobzan’jakh mechtaju,-
Uvy,ikh net!

Vse oplakivajut neuteshno
poterju druzhby il’ ljubvi!
O neizmennykh chuvstvakh ja mechtaju...
Uvy,ikh net!

この世ではリラの花はすぐに色あせ
鳥の歌も長くは聴けない
永遠の輝かしい日々を私は夢見るが
ああ、そんなものはない

この世ではキスをする口も
長くそのままではいられない
永遠のくちづけを私は夢見るが
ああ、そんなものはない

すべての人は悲しみに沈む
なくした恋や友情のことで
永遠に変わらぬ心を私は夢見るが
ああ、そんなものはない


フォーレの歌曲で非常に印象的だったIci bas「この世では」ですが、同じ詩にロシアの作曲家ツェザール・キュイも曲を付けていました。フランス人の家系に生まれた彼であるがゆえか、この歌はフランス語の原詩で歌われることもあればロシア語の訳詩で歌われることもあります。ここではロシア語訳の方を取り上げて見ましたが(訳者は不明のようです)、何というかそっけない詩になってしまいましたね。フランス語の原詩ではToujours!(いつまでも)と見果てぬ憧れを歌っているところをロシア語詩では、「ikh net!(そんなものはない)」っていう身も蓋もないオチを付けてしまっています。意味は確かにそうなのですが、もうちょっと何とかならんのかいな、とツッコミながら訳しました。とはいえ音楽が真面目なのにおちゃらける日本語訳というのも何ですので、そこはひとつグッと抑えています。キュイの音楽は大変美しく、ボリス・クリストフの録音はじめロシア語バージョンはけっこう聴くことができますし、フランス語バージョンのものもセルゲイ・ラーリンが歌ったものがあります(Chandos)。ロシア歌曲というよりは上品なシャンソンといった趣。ですからもっともっとフランス語詞でも歌われれば良いのになあ、と思います。

( 2006.09.10 藤井宏行 )


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