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Shestnadtsat’ let    
 
16歳  
    

詩: デリヴィク (Anton Delvig,1798-1831) ロシア
      Первая встреча

曲: ダルゴムイシスキー (Alexander Sergeyevich Dargomyzhsky,1813-1869) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Mne minulo shestnadtsat’ let,
No serdtse bylo v vole;
Ja dumala: ves’ belyj svet,
Ves’ belyj svet nash bor,
Potok i pole.

K nam junosha prishel v selo:
Kto on,otkol’,ne znaju,
No vse menja k nemu vleklo,
Vse mne tverdilo: znaju!
Vse mne tverdilo: znaju!

Kuda pojdu i on za mnoj.
Na dolguju l’ razluku?
Ne znaju! Tol’ko on s toskoj,
Akh,on s toskoj bezmolvno zhal mne ruku.
“CHto khochesh’ ty? - sprosila ja,
- skazhi,pastukh unylyj.”

I s zharom on skazal:
“Ljublju,ljublju tebja!”
i tikho nazval miloj.
I mne b togda,”ljublju” skazat’!
No slov najti ne znala,
Na zemlju potupila,
Potupila vzgljad,krasnela,
Trepetala!

Ni slova ne skazala ja,
Za chto zh emu serdit’sja?
Za chto pokinul on,
pokinul on menja?
I skoro l’ vozvratitsja?
I skoro l’ vozvratitsja?


私は16歳になったわ
でも心は幼いままなの
私は思ってた、この世界のすべては
世界のすべてはこの森と
小川と野原で出来ていると

ある日、村にひとりの若者がやってきた
彼が誰なのか、どこから来たのかは分からないけれど
でも何か惹かれるものがあった
まるで昔から彼を知っていたかのように
まるで昔から彼を知っていたかのように

どこへ私がいくときも、彼は私と一緒だった
どうしていつも一緒になるの?
私は分からなかった!ただ彼は悲しそうに
ああ、彼は悲しそうに、何も言わずに私の手を握った
「どうしたの?」って私言ったの
「言ってちょうだい、悲しそうな牧童さん」

そうしたら彼は興奮してこう言ったの
「愛してる、君を愛してるんだ!」って
それからやさしく私の名を呼んだの
私も彼に「好きよ」って言わなきゃいけなかったのかしら!
でも言葉が見つからなかった
ただうつむいてた
うつむいて、真っ赤になって
震えてたの!

彼に一言も答えられなかった
でもどうして彼は怒っちゃったの?
どうして彼は私を置いて
去っていってしまったの?
すぐに戻ってくれるのかしら?
すぐに戻ってくれるのかしら?



非常にベタな展開の話ですから、詩の内容に解説は要りませんね。「ごめんなさいね、あの日のことは 恋の意味さえ知らずにいたの」(by黛ジュン「天使の誘惑」 詞:なかにし礼)なんて日本の歌謡曲シーンでも昔からよく取り上げられているテーマです。詩人のデルヴィークはプーシキンの学友として名前が知られ、こんなところでも名前が出てきますが、私が見た限りこんな感じの民謡風の素朴な詩をけっこう書いているみたいです。もうひとつ現在も良く知られているのがアリャビエフの夜鶯の詩だったりしますので。なおこの「16歳」、詩はドイツの詩人マティウス・クラウジウスの「フィディレ」という詩をデルヴィークがロシア語に翻訳したもののようですが翻訳というよりは翻案に近く、私はこちらの方が可愛らしくて好きです。オリジナルのクラウジウスの詩「フィディレ」にもシューベルトやシェックが曲を付けているようですが私は耳にした記憶がありません。詩は実際はもう少し中間部分が長く、歌にするときにだいぶ短くされてしまいました。そのためちょっと出会いから別れまでの展開が速いようにもなってしまいましたがそれでも要所は押さえているでしょうか。
そしてこれにダルゴムイシスキーはとても愛らしいマズルカの曲を付けました。聴いていても微笑ましくなるような素朴な村娘のちょっとした後悔が軽やかに歌われます。「どこへ私が行くときも」のところでちょっと短調に転調しますがすぐにまた明るくなり、そのまま暗くなることはなく終わってしまいます。この娘、あまりこの状況を重大と捉えてはいないな、ということが分かってちょっと若者が可哀想ではありますが。
そこがまた作曲者の巧いところなのでしょうね。これも詩の繰り返しを効果的に使って民謡風の素朴さを出しています。
日本で手に入る(今も入手可能かは分かりませんが)録音としてはガリーナ・ゴルチャコーワの歌ったロシア歌曲集(Philips)があります。彼女にしてはあまり調子の良いアルバムのようには思えませんでしたが、この曲などではなかなか可愛らしくて良いです。

( 2006.08.26 藤井宏行 )


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