Abendempfindung an Laura K.523 |
ラウラによせる夕べの想い |
Abend ist's,die Sonne ist verschwunden, Und der Mond strahlt Silberglanz; So entfliehn des Lebens schönste Stunden, Fliehn vorüber wie im Tanz. Bald entflieht des Lebens bunte Szene, Und der Vorhang rollt herab; Aus ist unser Spiel,des Freundes Träne Fließet schon auf unser Grab. Bald vielleicht -mir weht,wie Westwind leise, Eine stille Ahnung zu- Schließ ich dieses Lebens Pilgerreise, Fliege in das Land der Ruh. Werdet ihr dann an meinem Grabe weinen, Trauernd meine Asche sehn, Dann,o Freunde,will ich euch erscheinen Und will himmelauf euch wehn. Schenk auch du ein Tränchen mir Und pflücke mir ein Veilchen auf mein Grab, Und mit deinem seelenvollen Blicke Sieh dann sanft auf mich herab. Weih mir eine Träne,und ach! schäme dich nur nicht,sie mir zu weihn; Oh,sie wird in meinem Diademe Dann die schönste Perle sein! |
もう夕暮れだ、日が沈んでいき 月は銀色の光を放っている こうして人生の最上の時も 踊りの列のように過ぎ去っていくのだ もうすぐ人生の色とりどりの情景も消え 舞台に幕が降りてくるのだろう ぼくらの芝居は終わったのだ!友人たちの涙が もうぼくらの墓の上にそそがれる たぶん、もうすぐに-西から吹いてくるそよ風のように ひそかな予感が寄せてくる- 私もこの人生の巡礼を終えて 安らぎの地へと飛び去るのだ 私の墓の上で涙を流し 私の灰を痛ましげに眺めてくれるなら そのときは、おお友よ、私も姿を現し 天上の香りをきみに伝えよう 一粒の涙を私に注ぎ 一輪のスミレを墓に供えて そして心を込めた眼差しで 私を優しく見つめて欲しい 一粒の涙を捧げておくれ、そしてああ 決して恥ずかしがることなく、涙を流して欲しいのだ おお、君の涙は私の身を飾る物の中で 最も美しい真珠となるのだから |
軽やかでユーモラスなものの多いモーツァルトの歌曲の中でもたいへんしっとりとした美しさが印象的なこの歌、歌詞の内容的にも昨日90歳の天寿を全うされたソプラノのエリザベート・シュヴァルツコップを偲ぶにはうってつけの曲でしょう。彼女にはピアノのギーゼキングと入れた定評のあるモーツアルト歌曲の録音があります。
その後の世代の歌ではあまり聴かれなくなった、歌うというよりは語るようなそのスタイルはモーツアルトには少々小うるさく聴こえる、という意見もあるようですが、私はこのスタイルもなかなか良いなあ、と今日改めて聴いて思いました。最近ドイツリートをほとんど聴かなかったので、より新鮮だったというのもあるのかも知れません。
ドイツ語の語り口のうまさに、ヴォルフの歌曲の魅力を教えてくれた人ですが、私の大好きな一連のオペレッタを除くと意外なくらい今までこの人の歌を聴いていなかったなあ、というのも気付いて驚かされました。まあ私がクラシック音楽を聴き始めた頃にはすでに引退されていたのですし仕方がないところもあるのですが...
90歳というご高齢ですからまあ大往生ということだと思います。いろいろ毀誉褒貶のあった人のようですがひとつの歌のスタイルを築いたという点で凄い人だったのでしょう。ご冥福をお祈りいたします。
これも1787年の作曲だそうです。
( 2006.08.04 藤井宏行 )