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I skogen    
  Sånger och visor
森の中で  
     歌と唄

詩: イエレルステッド (Albert Theodor Gellerstedt,1836-1914) スウェーデン
      

曲: ステンハンマル (Wilhelm Eugen Stenhammar,1871-1927) スウェーデン   歌詞言語: スウェーデン語


Kär är att råka dig,nattviol,
der blek du står i gränsen
och suckar ut efter sjunken sol
din doft,ditt innersta väsen.
Ljuft är att höra din sång,du trast,
der högst i granen på spaning
du jublar ut under qvällens rast
om morgonrödnad din aning.
Men lär mig,nattviol,blid som din,
en sorg,när fröjd har gått under!
Trast,lär mig tolka så glad som din,
min tro på ljusare stunder!

なんて素敵な出会いだ、夜咲きスミレよ
野原にお前は青ざめて立ち
沈んだ太陽に向かってため息をついている
お前の香りを、心底まで吸い込んで沈んだ太陽を。
お前の歌を聞くのは楽しいよ、ツグミよ
モミの木のてっぺんからあたりを見回し
勝ち誇った声で叫ぶ、この静かな夜に
朝焼けがやがて来ることを予感しながら。
だが教えてくれ、夜咲きスミレよ、その姿のように優しく
喜びが消え去ってしまった後のお前の悲しみを!
ツグミよ、教えてくれ、お前のその陽気さを
楽しいときだけを信じることのできる心を!


スウェーデンの作曲家ステンハンマルの若き日の作品「歌と唄」の第1曲(1888)。まだ作品番号も付いておらず習作のような扱いの歌ですが、彼の歌曲としては比較的よく取り上げられる曲のようで録音もけっこうあるみたいです。詩のイエレルステッド(Albert Theodor Gellerstedt 1836-1914)は詩人としての他に建築家としても活躍した人のようです。時折スウェーデン歌曲で名前を見かけます。
Nattviolというのは夜のバイオリンとでもいうような意味でしょうか。ランの一種のようですがスウェーデンあたりでは夜に咲いて、たいへんに芳しい香りを発する花のようです。花の種類には詳しくありませんので間違っているかも知れませんが、夜咲く美しい花の描写として印象的なシューベルトの「夜咲きスミレ Nachtviolen」にならって夜咲きスミレの訳語をあてておきました。
フランツ・ペーターさんにシューベルトのこの曲は取り上げていただいていますけれども、「ムラサキバナ(ハナダイコン)」いうタイトルを当てられています。写真で見ると何となく違う花にも思えるのですがいかがしたものでしょうか(NachtviolenとNattviolが全然別の花なのかなあ...?)

http://www.vora.fi/pictures/bildspel/tn/IMAGE26.JPG.html


曲は非常にシューマネスク、シューマンとリストの歌曲を足して2で割ったようなロマンチックさがドイツ歌曲ファンの方には非常にウケルのではないでしょうか。ピアノの伴奏のメロディアスなところも大変美しいです。北欧歌曲という感じではないですが、このメロディの魅力には抗しがたいものがあります。
日本で入手が容易なのはバーバラ・ボニーがパッパーノの伴奏でいれた北欧歌曲集(Decca)でしょうか。陶然とするような美しい声にほれぼれしてしまう演奏です。あとは私が聴いたのはバリトンのフレデリクソンの演奏(Vanguard)。これもひそやかな感じが曲のイメージによく合ってなかなか素敵です。

( 2006.07.30 藤井宏行 )


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