Mit Myrten und Rosen,lieblich und hold Op.24-9 Liederkreis |
愛らしくいとしいミルテやバラで リーダークライス |
Mit Myrten und Rosen,lieblich und hold, Mit duft'gen Zypressen und Flittergold, Möcht' ich zieren dies Buch wie 'nen Totenschrein, Und sargen meine Lieder hinein. O könnt' ich die Liebe sargen hinzu! Auf dem Grabe der Liebe wächst Blümlein der Ruh', Da blüht es hervor,da pflückt man es ab,- Doch mir blüht's nur,wenn ich selber im Grab. Hier sind nun die Lieder,die einst so wild, Wie ein Lavastrom,der dem Ätna entquillt, Hervorgestürtzt aus dem tiefsten Gemüt, Und rings viel blitzende Funken versprüht! Nun liegen sie stumm und totengleich, Nun starren sie kalt und nebelbleich, Doch aufs neu' die alte Glut sie belebt, Wenn der Liebe Geist einst über sie schwebt. Und es wird mir im Herzen viel Ahnung laut: Der Liebe Geist einst über sie taut; Einst kommt dies Buch in deine Hand, Du süßes Lieb im fernen Land. Dann löst sich des Liedes Zauberbann, Die blassen Buchstaben schau'n dich an, Sie schauen dir flehend ins schöne Aug', Und flüstern mit Wehmut und Liebeshauch. |
愛らしくいとしいミルテやバラで、 香り芳しい糸杉や金箔で、 柩のようなこの本を飾り、 わが歌をその中に収めたい。 おお、さらに愛も柩に収められたら! 愛の墓に憩いの花が育ち、 その花が咲くと、摘み取られる、 だが私自身が墓に入ってしまったら、私の花が咲くだけである。 ここに今、歌がある、それらはかつてはとても荒々しく あたかもエトナ火山から噴出する溶岩流のようで、 最も奥底にある感情から流れ出て、 そしてあたりに多くのきらめく火花を飛び散らしていた。 いまやそれらの歌は押し黙り、死んだも同然、 いまや冷たく、霧のように色あせている。 だが、ふたたび昔の灼熱がそれらの歌に生気を与えるであろう、 愛の精がいつの日かそれらの上に浮かぶようになれば。 そして私の心に多くの予感が声をあげる、 愛の精がいつの日か彼女の心を解かし、 いつかこの本がきみの手に渡るんだよ、 遠い国のかわいい恋人よ。 すると歌の魔力が解けて 淡い文字がきみを見る、 それらは嘆願しながらきみの美しい目を見つめる、 そして悲しみと愛の吐息でささやきかけるのだ。 |
Innig,nicht rasch(心をこめて、速くなく)、4分の4拍子、ニ長調。
疑問形の半終止で終わった前曲とつなげて演奏されることが多い。歌を柩のような本に収めてしまうという内容は「詩人の恋」の最終曲を思い出させるが、そちらが愛の苦悩を柩に葬り去るという内容だったのに対して、この「愛らしくいとしいミルテやバラで」は愛の息吹に触れることにより、押し黙っていた歌は再び生き生きと甦るという前向きな内容になっている。
曲は4分音符と3連符の長短リズムの組み合わせが特徴的な前奏にはじまり、歌も基本的には長短リズムを踏襲している。詩の2節ずつをまとめて、おおよおそA-A’-Bという構造といえるだろう。最終節はppでひそやかにゆっくり(Langsamer und immer langsamer-Adagio)歌われ、かつての恋人との甘い空想にふけり、この歌曲集を締めくくる。火山から噴出する溶岩流のように荒々しかったかつての歌についてのくだりではfやsfで力強さを指示し、飛び散る火花と歌う箇所(rings viel blitzende Funken)では単語間に八分休符を入れ(blit-zendeの間にも)詩の内容と言葉の響きへの敏感な反応が見られる。恋人への恨みつらみや情けない自分への自嘲表現、やけになって自暴自棄になるところなどの多い、癖のある歌曲集の最後をこれほど穏やかに締めくくるというのは、当時クラーラをめぐり、その父親と裁判で争っていた苦しい時期にあっただけに希望の光を作品に託したということもあるのかもしれない。
( 2006.07.15 フランツ・ペーター )