TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Berg' und Burgen schau'n herunter   Op.24-7  
  Liederkreis
山や城は見下ろしている  
     リーダークライス

詩: ハイネ (Heinrich Heine,1797-1856) ドイツ
    Buch der Lieder - Junge Leiden - Lieder(歌の本-若き悩み-歌たち 1827) 7 Berg' und Burgen schau'n herunter

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Berg' und Burgen schau'n herunter
In den spiegelhellen Rhein,
Und mein Schiffchen segelt munter,
Rings umglänzt von Sonnenschein.

Ruhig seh' ich zu dem Spiele
Goldner Wellen,kraus bewegt;
Still erwachen die Gefühle,
Die ich tief im Busen hegt'.

Freundlich grüßend und verheißend
Lockt hinab des Stromes Pracht;
Doch ich kenn' ihn,oben gleißend,
Birgt sein Innres Tod und Nacht.

Oben Lust,im Busen Tücken,
Strom,du bist der Liebsten Bild!
Die kann auch so freundlich nicken,
Lächelt auch so fromm und mild.

山や城は見下ろしている、
明るい水面のライン川を。
そして私の舟は元気に川を進む、
あたりを日の光で輝かせながら。

穏やかに私は目をやる、
金色の波がさざめき動く水面を。
すると静かにあの感情が目覚め出す、
胸の奥深くに抱いていた感情が。

親しげに挨拶し、思わせぶりに
川の華やぎが水底へといざなう。
だが私は知っている、川の上は輝いていても
その内側には死と夜が隠れていることを。

表面は楽しげで、胸の内は悪辣、
川よ、おまえはまさに恋人の姿そのものだ!
彼女もこのように親しげにうなずいて、
従順にやさしく微笑むことができたものだった。


Ruhig,nicht zu schnell(落ち着いて、速すぎず)、8分の3拍子、イ長調。
山や城が映ったライン川で舟を進める主人公は水面を眺めながら、その表面は親しげに輝いていても内側には死の世界が隠れていることを思い浮かべ、それが好きだった彼女と同じだと歌う。水中への誘惑というテーマはゲーテの「釣り人(Der Fischer)」が思い出されるが、ハイネの詩は主人公が水中にひそむ「死」を自覚しているところが異なると言えるだろう。
日の光に照り映えた水面のように清冽なオクターヴの分散和音を弾くピアノの上に優美な旋律が歌われる。歌とピアノが数箇所で美しい二重唱を奏でる。全4節すべてが有節形式で作曲されているが、川の表面と奥底の違いに例えた恋人への非難を歌った第4節もあえて同じ音楽で通したのは、心の底は悪辣な彼女も表向きは「親しげにうなずいて、従順にやさしく微笑む」ことが出来たのだから、音楽も表向きは優美な表情を崩すべきではないと考えたのかもしれない。音楽が同じである分、歌手とピアニストの表現で詩の内容を反映することが必要だろう。

( 2006.07.15 フランツ・ペーター )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ