Ich wandelte unter den Bäumen Op.24-3 Liederkreis |
私は木々の下を歩いた リーダークライス |
Ich wandelte unter den Bäumen Mit meinem Gram allein; Da kam das alte Träumen Und schlich mir ins Herz hinein. Wer hat euch dies Wörtlein gelehret, Ihr Vöglein in luftiger Höh'? Schweigt still! wenn mein Herz es höret, Dann tut es noch einmal so weh. “Es kam ein Jungfräulein gegangen, Die sang es immerfort, Da haben wir Vöglein gefangen Das hübsche,goldne Wort.” Das sollt ihr mir nicht mehr erzählen, Ihr Vöglein wunderschlau; Ihr wollt meinem Kummer mir stehlen, Ich aber niemandem trau'. |
私は木々の下を歩いた、 苦悩だけを抱きながら。 そこに昔の夢がやって来て、 私の心に忍び込んできた。 誰がおまえたちにこの言葉を教えたんだい、 空の鳥たちよ。 黙ってくれないか、私の心がそれを聞いたら またしても傷つくことになるのだから。 「ある乙女がやってきて、 いつもそれを歌っていました。 そのときに私たち小鳥は そのかわいらしく重みのある言葉を捕らえたのです。」 そんな話にごまかされないぞ、 ずる賢い小鳥たちよ。 おまえたちは私の悲しみを盗み出そうとしているが、 誰も信用するものか。 |
Ziemlich langsam(かなりゆっくりと)、4分の4拍子、ロ長調。
恋するがゆえの悩みをかかえて木々の下を歩く主人公が、いとしい恋人が歌っていた歌を歌う小鳥にいらだつという内容である。恋する男には鳥のさえずりすら恋人の歌に聞こえてしまうのであろう。
シューマンの曲は図式化すればA-A-B-A’となるが、言うまでもなくBは小鳥が歌う箇所である。小鳥の歌は三連符と同音反復が特徴的で、一見優しげなピアノパートの響きにもかかわらず、うすっぺらで表情のない様を歌声部に性格付けしているように私には感じられた。ピアノの前奏、後奏はシンコペーションのリズムが特徴的だが、歌には一度もシンコペーションが出てこないのが興味深い。ピアノパートは前打音やアルペッジョを多用して、独奏曲のようなシューマネスクな世界を見せている。
( 2006.07.15 フランツ・ペーター )