王孫不歸 |
|
王孫遊兮不歸 春草生兮萋萋 かげろふもゆる砂の上に 草履がぬいであつたとさ 海は日ごとに青けれど 家出息子の影もなし 國は滅びて山河の存する如く 父母は在して待てど 住の江の 住の江の 太郎冠者こそ本意なけれ ?は愁ひ 鳶は啼き 若菜は萌ゆれ春ごとに うら若草は野に萌ゆれ 王孫は つひに帰らず 山に入り木を樵る翁 家に居て機織る媼 こともなく明けて暮る 古への住の江の 浦囘を 想へ 後の人 耳をかせ 丁東 丁東 東東 きりはたり きりはたり きりはたり はたり ちやう |
|
( 2019.04.27 藤井宏行 )