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En sourdine   L 80  
  Fêtes Galantes I
ひそやかに  
     艶なる宴T

詩: ヴェルレーヌ (Paul Verlaine,1844-1896) フランス
    Fêtes galantes 21 En sourdine

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Calmes dans le demi-jour
Que les branches hautes font,
Pénétrons bien notre amour
De ce silence profond.

Fondons nos âmes,nos coeurs
Et nos sens extasiés,
Parmi les vagues langueurs
Des pins et des arbousiers.

Ferme tes yeux à demi,
Croise tes bras sur ton sein,
Et de ton coeur endormi
Chasse à jamais tout dessein.

Laissons-nous persuader
Au souffle berceur et doux
Qui vient,à tes pieds,rider
Les ondes des gazons roux.

Et quand,solennel,le soir
Des chênes noirs tombera
Voix de notre désespoir,
Le rossignol chantera.

ひそやかにに薄暗がりを
高い木々の影が作っている
ぼくらの恋をしっとりとしみこませよう
さあ、この深い沈黙へと

ぼくらの魂を 心を溶け合わそう
そしてこの素晴らしい気持ちも一緒に
ぼんやりとして物憂げな
松の木やヤマモモに包まれながら

君の目を半分閉じて
腕を胸の上に組んで
そして眠りかけた君の心から
考え事はみな永久に追い払うんだ

さあ、身を任そう
優しくゆれるそよ風に
君の足元をそよぎながら
あずき色の草を揺するそよ風に

そしてほら、おごそかな夕暮れが
黒々としたカシの木の上から降りてきたら
ぼくらの嘆きの歌を
ナイチンゲールが歌うだろう


ドビュッシーはヴェルレーヌのこの有名な詩に2回曲を付けているようです。
1回目はごく初期のもので、全集録音でもないと耳にできないようですが、2回目のものは歌曲集「艶なる宴T」に含まれてたいへん多くの録音があります。段々日が暮れかかってきて、森の中がかげってきます。恋人とふたり、言葉を交わすこともなくじっと座っている...
幸せな恋のふたりなのだけれど、この幸せがいつまで続くかと不安で一杯、その気持ちが夜になって「ぼくらの嘆きの歌」となって響いてくる、という風に私は読めました。
いかにもドビュッシーだなあ、と思わせるピアノの前奏(ナイチンゲールの鳴き声でしょうか)に導かれてぽつぽつとつぶやくような歌が入ってきます。このような光と影の交錯する夕暮れの情景の描写はドビュッシーはお得意のところ。溜息が出るような美しい情景を描写しています。

( 2006.05.14 藤井宏行 )


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