韮の葉 四つのうた ―柳川風俗詩より― |
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芝居小屋の土間のむしろに いらいら沁みるものあり 畑の土のにほひか 昨日の雨のしめりか あかあかと阿波の鳴門の巡禮が 泣けば…………ころべば…………韮の葉が………… 芝居小屋の土間のむしろに ちんちろりんと鳴いづる 廉おしろひのにほひか けふの入り日の顫へか あかあかと 母のお弓がチヨボにのり 泣けば…………なげけば…………蟲の音が………… 芝居小屋の土間のむしろに 何時しか沁みて芽に出づる まだありなしの韮の葉 |
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( 2019.04.04 藤井宏行 )