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Sérénade Toscane   Op.3  
  Deux mélodies
トスカナのセレナード  
     2つのメロディ 

詩: ビュシーヌ (Romain Bussine,1830-1899) フランス
      

曲: フォーレ (Gabriel Fauré,1845-1924) フランス   歌詞言語: フランス語


O toi que berce un rêve enchanteur,
Tu dors tranquille en ton lit solitaire,
Éveille-toi,regarde le chanteur,
Esclave de tes yeux,dans la nuit claire!

Éveille-toi,mon âme,ma pensée,
Entends ma voix par la brise emportée,
Entends ma voix chanter!
Entends ma voix pleurer,dans la rosée!

Sous ta fenêtre en vain ma voix expire,
Et chaque nuit je redis mon martyre,
Sans autre abri que la voûte étoilée,
Le vent brise ma voix et la nuit est glacée;

Mon chant s'éteint en un accent suprême,
Ma lèvre tremble en murmurant,je t'aime,
Je ne peux plus chanter!
Ah! daigne te montrer! daigne apparaître!

Si j’étais sûr que tu ne veux paraître
Je m’en irais pour t’oublier demander au sommeil
De me bercer jusqu’au matin vermeil
De me bercer jusqu’a ne plus t’aimer!


おお、幸せな夢に揺られている君よ
君はベッドでひとり静かに眠っているんだね
目覚めて、見ておくれよ この歌い手を
君の瞳の虜になって、この清らかな夜に立っている歌い手を!

目覚めてよ、ぼくの魂、ぼくの想う人
聞いておくれよ そよ風に乗せて伝わるぼくの声を
聞いておくれよ ぼくの歌う声を!
聞いておくれよ 夜露に濡れながら泣くぼくの声を 

きみの窓の下でぼくの声はむなしく消えて行く
それでも毎晩、ぼくは恋に死ぬ自分を繰り返し訴えにくるのだ
他に身を隠すところはない この星空の下
風はぼくの声を打ち砕き、夜は凍りついている

ぼくの歌声は消えてゆく 最後の響きと共に
ぼくの唇は震えながらこうつぶやく 「愛してる」と
ぼくはもう歌えない
ああ!、きみの姿を見せて! 姿を現して!

もしきみがどうしても出て来たくないと分かってるのだったら
ほくはきみを忘れられるようにと 眠りにお願いするんだけどね、
真っ赤に染まる朝までぼくを揺すってくれるようにと
きみをもう愛さなくても良くなるまでぼくを揺すってくれるようにと

イタリア、トスカナ地方(フィレンツェの周辺)のセレナーデ、有名な「夢のあとに」と同じくこの地方に伝わる古い伝承詩をフォーレの友人ロマン・ビュシーヌがフランス語の詩にしたもののようです。
目の覚めるような情熱的なピアノ伴奏の旋律はイタリア風、といいますかスペイン風、短調でありながら燃え立つように恋する人への想いを歌います。

しかしむなしく恋する人は出てこない。あきらめてすごすごと帰る第5節目は面白いことに長調に転調して、なんというか安らかに曲を終わらせます。潔くあきらめたのか、それとも初めからゲーム感覚で恋を楽しむのがこのセレナードの正しいやり方なのでしょうか。ここまで見届けているセレナードはなかなか他にはないので大変に興味深いところです。
(2006.05.13)

コンサートでお使い頂くということで訳を改訂しました。最後のところはよくよく読むと、すごすご帰るのではなくて負け惜しみを言っているのですね。この脅しが功を奏したかそれとも逆効果になって水でもぶっかけられることになったのか、なかなかに興味深いところです。

( 2011.02.12 藤井宏行 )


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