水汲み 心象スケッチ |
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ぎっしり生えたち萱の芽だ 紅くひかって 仲間同志に影をおとし 上をあるけば距離のしれない敷物のやうに うるうるひろがるち萱の芽だ ……水を汲んで砂へかけて…… つめたい風の海蛇が もう幾脈も幾脈も 野ばらの藪をすり抜けて 川をななめに溯って行く ……水を汲んで砂へかけて…… 向ふ岸には 蒼い衣のヨハネが下りて すぎなの胞子(たね)をあつめてゐる ……水を汲んで砂へかけて…… 岸までくれば またあたらしいサーペント ……水を汲んで水を汲んで…… 遠くの雲が幾ローフかの 麺麭にかはって売られるころだ |
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( 2019.03.30 藤井宏行 )