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水汲み    
  心象スケッチ
 
    

詩: 宮沢賢治 (Miyazawa Kenji,1896-1933) 日本
    春と修羅 第三集  

曲: 高田三郎 (Takata Saburou,1931-2000) 日本   歌詞言語: 日本語


ぎっしり生えたち萱の芽だ
紅くひかって
仲間同志に影をおとし
上をあるけば距離のしれない敷物のやうに
うるうるひろがるち萱の芽だ
   ……水を汲んで砂へかけて……
つめたい風の海蛇が
もう幾脈も幾脈も
野ばらの藪をすり抜けて
川をななめに溯って行く
   ……水を汲んで砂へかけて……
向ふ岸には
蒼い衣のヨハネが下りて
すぎなの胞子(たね)をあつめてゐる
   ……水を汲んで砂へかけて……
岸までくれば
またあたらしいサーペント
   ……水を汲んで水を汲んで……
遠くの雲が幾ローフかの
麺麭にかはって売られるころだ



( 2019.03.30 藤井宏行 )


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