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Po griby    
 
キノコ狩り  
    

詩: メイ (Lev Aleksandrovich Mei,1822-1862) ロシア
      По грибы

曲: ムソルグスキー (Modest Petrovich Mussorgsky,1839-1881) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Ryzhichkov,volvjanochek,belykh beljanochek
Naberu skoreshen’ko ja mlada mladeshen’ka,
Chto dlja svekra batjushki,dlja svekrovi-l’ matushki,
Perestali-b skrjazhnichat’,seli-by pobrazhnichat’.

A tebe nemilomu,staromu da khilomu,
Sunu ja v okoshechko tseloe lukoshechko,
Mukhomora starogo,starogo podzharogo,
Staryj est,ne spravitsja,mukhomorom davitsja.

A tebe prekljatomu,belu kudrevatomu
Vysmotrju ja travushku,travushku muravushku
Na postelju branuju,svakhoj nochkoj stlanuju,
S pologom dubrovushkoj da so mnoj-li vdovushkoj.

赤いキノコ、茶色のキノコ、白いキノコ
急いで集めるの、まだ娘のような若いあたしが
お舅さんのために、お姑さんのために
そうすれば嫌味も少しは止むわ、宴会なんかをするかも知れない

でもいやなあなた、愛してもない老いぼれ亭主には
窓から渡してやりましょ、カゴを一杯にして
古い毒キノコ、干からびてるやつを
じいさんそれを食って、喉に詰まってお陀仏よ

でもつれないあんた、色白の巻き毛のあんたには
草むらを見つけてあげるのよ、若草の生えてるところを
そこに寝床を敷いてあげるわ、夜の闇を仲人にして
カシの木立がカーテンよ、そしてそこには未亡人のあたしがいるの


とてもシニカルな詩につけたムソルグスキーお得意のユーモラスな歌です。舅姑を酔っ払わせてから嫌なダンナを毒殺し、あとは若い恋人と一緒になりましょ、とけっこう凄いことを森でキノコを摘みながら歌っています。けれどもこの詩にある「まだ娘のような若いあたし」というのが本当なら(サバ読んでいなければ)、この歌、愛してもいない金持ち中年男に無理やり嫁がされ、舅姑からもイジメ抜かれているまだ若い娘のやるせない悲しい歌なのかも知れません。楽しげに弾ける伴奏もそうして聴いてみると、あのイェリョムーシュカがお金持ちの暮らしに憧れるのと同じくらいはかなくも空しい空想の世界の音楽のようにも聴こえます。アメリカの黒人たちの音楽が、生活は苦難の連続だからせめて音楽だけは愉快に陽気にということで、葬送の音楽にあの楽しげな「聖者の行進」を生み出したことなども連想されます。

冒頭に歌われるキノコの種類は実際は固有名詞のようですが、そのままではなんだか分からないので意訳しました。RyzhichkovとBeljanochekは頭に「赤」と「白」が付いていますから赤いキノコ・白いキノコで間違いないと思うのですが、Volvjanochekは辞書によればマツタケみたいなキノコだそうですので、間違っているかも知れませんが茶色のキノコとしておきました。

若い娘の声ではないのですけれども、ヴィシネフスカヤの入れた録音(Erato)が良いです。クリストフの全集(EMI)は少しやり過ぎかも。とても面白い演奏ですが。

( 2006.05.07 藤井宏行 )


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