童と母 |
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垂乳根の母の垂乳に おしすがり泣きし子ゆゑに いまもなほ我を童とおぼすらむ ああ我が母は 天つ日の光もわすれ 現身の色に溺れて 酒みづきたづきも知らず 酔ひ疲れ帰りし我を 酒のまばいただくがほど 悲しくもそこなはぬほど 酔うたらば早うやすめと かき抱き枕あてがひ 衾かけ足をくるみて 裾おさへかろくたたかす 裾おさへかろくたたかす 垂乳根の母を思へば泣かざらめやも |
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( 2019.03.24 藤井宏行 )