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Priez pour paix   FP 95  
 
平和の祈り   
    

詩: オルレアン,シャルル・ド (Charles,Duc d'Orléans,1394-1465) フランス
      Priez pour paix

曲: プーランク (Francis Poulenc,1899-1963) フランス   歌詞言語: フランス語


Priez pour paix Doulce Vierge Marie
Reyne des cieulx et du monde maîtresse
Faictes prier par vostre courtoisie
Saints et Saintes et prenez vostre adresse
Vers vostre Fils Requerant sa haultesse
Qu'il Lui plaise son peuple regarder
Que de son sang a voulu racheter
En déboutant guerre qui tout desvoye
De prières ne vous vueillez lasser
Priez pour paix,priez pour paix
Le vray trésor de joye.

平和のためにお祈りください 優しき聖母マリア様
天の女王様、世界のご主人様
あなた様のお力添えにより
聖者と聖女様方もお祈りくださるようにしてください
そしてあなたの御子にその気高さをお求めください
御子イエスが民を見守り給うことを
御子の血で償おうと望んだ民のことを
そしてすべてを破壊しつくす戦争をなくしてくださいますことを
お祈りに倦まれませぬよう
平和の祈りを、平和の祈りを
これこそが喜びの真の宝物なのですから


シャルル・ド・オルレアン(1394-1465)の古い詩に1938年プーランクが作曲した作品です。まさに第二次世界大戦直前の緊張した時期。彼の宗教曲の最初の傑作「黒衣の聖母への連祷」の影響のもとに書かれたと本人の手記にあるようですが、くだくだ解説するまでもなく、この戦争に対する恐れと悲しみと、そして平和への願いを切実に音楽にしているのはお分かりの通りです。そしてこの曲こそがプーランクが戦争と平和に関わるテーマを歌曲にした最初の曲となりました。彼の宗教曲作品をご存知の方はご存知の通り、彼のヒューマニスティックな祈りの音楽は大変に感動的なものがありますが、その味わいが独唱曲として出ているということでこれもまた心に残る作品です。「そしてすべてを破壊しつくす戦争をなくしてくださいますことを」のところでは宗教曲の枠をはみ出した強烈な叫びとなりますが、これもまたプーランクらしいところですね。

( 2006.05.03 藤井宏行 )


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