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Le Galop    
 
ギャロップ  
    

詩: シュリュ=プリュドム (René-François Sully-Prudhomme,1839-1907) フランス
    Stances et Poèmes - 1. Stances - 4. Mélanges 19 Le galop (1865)

曲: デュパルク (Eugène Marie Henri Fouques Duparc,1848-1933) フランス   歌詞言語: フランス語


Agite,bon cheval,ta crinière fuyante,
Que l'air autour de nous se remplisse de voix,
Que j'entende craquer sous ta corne bruyante
Le gravier des ruisseaux et les débris des boix.

Aux vapeurs de tes flancs mêle ta chaude haleine,
Aux éclairs de tes pieds,ton écume et ton sang.
Cours,comme on voit un aigle,en effleurant la plaine,
Fouetter l'herbe d'un vol sonore et frémissant.

Allons! Les jeunes gens,à la nage,à la nage,
Crie à ses cavaliers le vieux chef de tribu,
Et les fils du désert respirent le pillage,
Et les chevaux sont fous du grand air qu'ils ont bu.

Nage ainsi dans l'espace,ô mon cheval rapide.
Abreuve-moi d'air pur,baigne-moi dans le vent,
L'étrier bat ton ventre,et j'ai lâché la bride.
Mon corps te touche à peine,il vole en te suivant.

Brise tout,le buisson,la barrière ou la branche.
Torrents,fossés,talus,franchis tout d'un seul bond.
Cours,cours,je rêve et sur toi,les yeux clos,je me penche,
Emporte,emporte-moi dans l'inconnu profond!


行け、名馬よ、たてがみをなびかせ
ぼくらのまわりの空気はいろんな声で一杯だ
お前の足元からはにぎやかな駆ける音が聴こえる
小川の小石の音や落ちた木切れの音だ

お前の体から出る湯気は鼻息と混じり
お前の脚を、泡を、血をきらめかせる
走れ、鷲が飛ぶように、大地を蹴って
草をなぎ倒せ、にぎやかに揺れるその飛翔と共に

「行け、若者たちよ、泳げ、泳げ」
騎手たちに一族の長老が叫ぶ
砂漠の息子たちは略奪に心奪われ
馬たちは吸い込んだ空気で狂ったようになっている

お前も空を泳げ、おお我が駿馬よ
私に澄んだ空気を浴びせ、風に浸らせてくれ
拍車はお前の腹を打ち、私は手綱をゆるめる
私の体はお前に触れて、お前に続いて飛んでいく

すべてを踏み砕いて行け 茂みを、柵を、枝を
沢を、溝を、小山を一跳びで越えて行け
走れ、走れ、私は夢見る、お前の上で、目を閉じて
連れて行け、連れて行け、素晴らしき未知の世界へと!


これもデュパルクが破棄したはずの歌曲が最近になって発見されたもののようで、パンゼラやモラーヌ、スゼーなどのデュパルク歌曲の古い録音には含まれていない作品です。
最近の歌曲全集と銘打った盤には含まれるようになりましたが、まあ確かに他の名曲群と比較するといまひとつ印象が薄いです。デュパルク自身がこの曲を破棄したのも分かるような気がします。
あそびの音楽館でJun-Tさんが取り上げることをされなければ、私もこの曲は取り上げなかったでしょう。その一番の理由は詩の意味がうまく取れないこと。第1・2節は駿馬に乗って駆ける躍動感が良く出ていますが、第3節でいきなり「泳げ 泳げ」と言われても...この節は全体に意味不明ですが、恐らく馬に乗って走っているときの幻想か何かを描写したのでしょう。仕方なく意味不明なままに直訳しています。
このあとの第4・5節はまた馬で駆ける主人公が描写されています。シュリュ・プリュドムらしからぬ詩もまたこの曲をあまり印象付けないひとつの理由でしょうか。
「波と鐘」や「ローズモンドの屋敷」系の激しい雰囲気の歌曲なのですが、これら2つほど徹底していません。ただ馬に乗る疾走感は良く出ているかも。

( 2006.04.28 藤井宏行 )


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