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Soupir    
 
ためいき  
    

詩: シュリュ=プリュドム (René-François Sully-Prudhomme,1839-1907) フランス
    Les solitudes  Soupir

曲: デュパルク (Eugène Marie Henri Fouques Duparc,1848-1933) フランス   歌詞言語: フランス語


Ne jamais la voir ni l'entendre,
Ne jamais tout haut la nommer,
Mais,fidèle,toujours l'attendre,
 Toujours l'aimer!

Ouvrir les bras,et,las d'attendre,
Sur la néant les refermer!
Mais encor,toujours les lui tendre
 Toujours l'aimer.

Ah! ne pouvoir que les lui tendre
Et dans les pleurs se consumer,
Mais ces pleurs toujours les répandre,
 Toujours l'aimer...

Ne jamais la voir ni l'entendre,
Ne jamais tout haut la nommer,
Mais d'un amour toujours plus tendre
 Toujours l'aimer.
 Toujours!

見ることもなく、聞くこともなく
声に出して呼ぶこともしないけれど
いつでも待ち続けてる、心から
彼女を愛してるんだ

腕を広げて 待ち疲れ
抱くこともかなわず腕を下ろす
でもいつでも腕を広げて待つんだ
彼女を愛してるんだ

ああ!この腕に抱くことができたら
それからこの涙を乾かすことができたら
でもいつでもこの涙は流れ続ける
彼女を愛してるんだ

見ることもなく、聞くこともなく
声に出して呼ぶこともしないけれど
いっそう深まり行く愛情で
彼女を愛してるんだ
いつまでも


デュパルク20歳の作品、「悲しき歌」とならんで最初期の作品の中では比較的よく取り上げられるのはやはり音楽的に優れているからでしょうか。このひそやかな愛のつぶやきは、決して彼のところにやって来ることはない不実な恋人のことを嘆く溜息とともに語られるのでしょう。微妙な転調にゆらぎながらぽつりぽつりと語られる歌は、そんなに美しいメロディではないですが、じっくり聴き込むととても表情豊かです。
なんでもデュパルクはこの曲を彼の母親に献呈したのだとか。それも何となく分からんでもない曲想と雰囲気ではあります。詩のシュリュ・プリュドムはフォーレ初期作品でも印象的な曲「河のほとりで」や「ゆりかご」などの詩を書いた人。なんともいえない透明感を彼の詩からは感じます。ここでの同じ言葉の繰り返しも音楽になるとあまり陳腐に聴こえないのも面白いところ。

こんな曲は、スゼーのような勢いのあるバリトンよりも、パンゼラやモラーヌといったハイバリトンの楚々とした歌の方が聴き応えがあります。引きこもり一歩手前の繊細さが出せると大成功でしょうか。

( 2006.04.23 藤井宏行 )


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