Lydia Op.4 Deux mélodies |
リディア 2つのメロディ |
Lydia sur tes roses joues Et sur ton col frais et si blanc, Roule étincelant L'or fluide que tu dénoues; Le jour qui luit est le meilleur, Oublions l'éternelle tombe. Laisse tes baisers de colombe Chanter sur ta lèvre en fleur. Un lys caché répand sans cesse Une odeur divine en ton sein; Les délices comme un essaim Sortent de toi,jeune déesse. Je t'aime et meurs,ô mes amours. Mon âme en baisers m'est ravie! O Lydia,rends-moi la vie, Que je puisse mourir,mourir toujours! |
リディアよ、おまえのバラ色の頬に そしておまえのそのみずみずしい白い首すじに ほとばしるように流れている おまえのほどいた金色の髪が この光り輝く今が一番素晴らしいから 忘れてしまおう、やがて来る死のことは ハトがくれるようなおまえのくちづけを 花のようなおまえのくちびるで歌っておくれ 一輪の秘めたユリの花が絶えることなく放つ 神々しい香りをおまえの胸に 数限りない喜びが おまえからもたらされるのだ、若き女神よ おまえを愛し、死ぬのだ、おお恋人よ くちづけを受けた私の魂は奪われてしまった おお、リディア、私に命を返しておくれ 私が死ねるように、毎日でも死ねるように! |
フォーレの初期作品ですが、メロディにいにしえのリディア旋法(ファを主音としファソラシドレミファとなる音階)を用いたためか中期以降の高貴で繊細な佇まいがにじみ出てきて人気の高い曲のように思います。詩のルコント・ド=リールはフォーレがよく取り上げていますが、彼の詩に付けた最初の曲がこれになります。
「ネル」や「イスファハンのバラ」のようにこの詩人のバラを取り上げた詩をフォーレは好んで取り上げているようですけれども、この最初の曲からバラRoseという言葉が使われているのも何か象徴的。
詩はとても情熱的な愛の歌なのですが、音楽はひたすらしみじみと気品溢れるものなので少々ギャップを感じないでもないですが、このきれいなメロディにひたるのが良いのでしょうね。
男女ともに良く歌われる曲のようですが、私のこの曲に対するイメージとしては男声の方がしっくり来ます(リディアという女性を讃えているのですから当然といえばそうなのですけれど)。全集の中のジェラール・スゼー、あるいはフォーレの歌曲では珍しいテノールのユグ・キュエノーの歌などが素晴らしいです。
( 2006.04.06 藤井宏行 )